ジャパンダイジェスト

保守野党、社民と連立協議へ=移民・経済で相違、交渉難航も

【ベルリン 2月25日 時事】ドイツ連邦議会(下院、定数630)選挙から一夜明けた24日、208議席を獲得し第1党となった保守野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)首相候補のメルツCDU党首は記者会見で、120議席を得た中道左派・社会民主党(SPD)との連立を目指すと表明した。4月中旬までの政権発足を見据えるが、両党の主張には隔たりがあり、交渉の道のりは容易ではない。

メルツ氏は会見で「黒赤連立を形成したい」と明言した。黒はCDU・CSU、赤は社民党のシンボルカラーだ。社民党のクリングバイル共同党首も24日、本格交渉に先立つ協議に応じる構えを示した。両党の獲得議席は計328で、新たな連邦議会の過半数を確保できる。

ただ、政策の調整は難航しそうだ。移民急増を受け、メルツ氏は選挙戦で国境管理の厳格化や難民の待遇見直しを主張したが、社民党はより穏健な立場。経済・財政面では、減税や規制緩和を訴え、国債発行に否定的なCDU・CSUに対し、社民党は積極財政による福祉拡充やインフラ投資を唱えている。

総選挙で極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進したことも、連立に向けた動きに影響を及ぼす可能性がある。AfDと、東独共産主義政党の流れをくむ左派党の獲得議席は計216で、基本法(憲法に相当)改正を阻止できる定数の3分の1を上回った。 

対ロシア防衛やインフラ投資に充てる十分な予算を確保するには、基本法に基づく債務抑制ルールの緩和や例外適用が求められるとみられている。このため、3月下旬ごろの新議会発足を前に、左右両極を除く勢力が3分の2を占める現在の議会で必要な立法手続きを取らざるを得ないとの声が出ている。
 
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