6月11日、大聖堂の街ケルンは朝からただならぬ空気に包まれていた。その原因は、スープ用の粉末だし「Maggi」の“臭い”。その強烈さと言ったら、「食欲をそそられる良い匂いね」などというレベルをはるかに超え、警察への通報電話が鳴り止まず、激しい吐き気に襲われて病院に搬送される人が出るほどの激臭だった。消防が緊急部隊を出動して出元の特定に奔走し、ようやく原因が判明したのは14時頃。近郊の街ノイスにある食品香料製造工場の煙突からモクモクと放出された、“Maggi臭”の元である芳香化合物「ソトロン」が風に乗ってケルンへ届いていたのだった。今回ケルンでは大騒動になったものの、この工場の近隣住民にとっては、異臭は日常茶飯事のこと。市民の間で、生活妨害だとして工場を訴える動きも出ているそうだ。
1 Nov. 2024 1229号
ベルリンの壁崩壊35年
壁崩壊後のドイツで
見えない壁を見るために