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[PR] 特別インタビュー

VfLボーフムで世界に挑む日本人サッカー選手 三好康児選手 特別インタビュー

ブンデスリーガを舞台に日本人サッカー選手がますます活躍しているが、VfLボーフムでも、これまで多くの日本人選手たちが戦ってきた。そんな日本と縁の深い歴史を紐解くとともに、昨年9月に同クラブに加入した三好康児選手に、VfLボーフムの魅力や今シーズンの意気込みを聞いた。(文:ドイツニュースダイジェスト編集部)

三好康児

三好康児MF

1997年神奈川県生まれ。川崎フロンターレのアカデミー出身。Jリーグでは川崎、札幌、横浜でプレーした後、ベルギーのアントワープへ移籍。英国のバーミンガムを経て、2024年8月にVfLボーフムに加入した。2019年のコパ・アメリカは日本代表として出場。歴代日本人選手のなかでも屈指の攻撃力を持つ、左利きのアタッカー。

VfLボーフムはどんなチーム?

歴史あるVfLボーフム

ルール地方のボーフムを本拠地とする、ドイツで最も歴史のあるサッカークラブの一つ。1848年に体操クラブ設立の呼びかけから始まり、1938年にできたサッカーチームが前身となっている。戦後は昇格と降格を繰り返しながら力を付け、1971年にブンデスリーガへと上り詰めた。しばらくは2部に降格したままだったが、2021年に11年ぶりにブンデスリーガに復帰。チームカラーは青と白、クラブ会員は3万人を越える。チームの応援歌はミュージシャンのヘルベルト・グレーネマイヤーの「Bochum」で、ホーム戦の選手入場前に歌われるのがお決まり。

日本と縁のあるサッカークラブ

VfLボーフムは、現在所属する三好康児選手のほか、これまでにも小野伸二選手、乾貴士選手、田坂祐介選手、浅野拓磨選手が在籍していた歴史を持つ。さらに2024年3月には、Jリーグのジュビロ磐田と1年間のパートナーシップを締結。このパートナーシップによりVfLボーフムでは、同クラブが日本のサッカー選手たちにとってドイツサッカーの入口となることを目指している。今年1月にはジュビロ磐田で活躍する若手の日本人選手を2週間招待したほか、3月にはU18のチームを招き、ユースチーム同士の試合が予定されている。これを機に、VfLボーフムは日本との縁をますます深めている。

三好選手に聞くVfLボーフムの魅力

VfLボーフムに移籍して半年がたつ三好康児選手ですが、ドイツの生活には慣れましたか?

ベルギーに4年、イギリスに1年いて、ドイツは三カ国目。ヨーロッパには慣れているつもりだったんですけど、やっぱり国ごとに人も言葉も違いますよね。ドイツはアダプトするまでにちょっと時間がかかったように思います。というのも、9月に来て少しずつ天気も悪くなっていくし、それと同時にドイツの方はちょっとぶすっとしているなという印象があって……(笑)。でも、自分から話しかけていけば笑顔を返してくれるような、懐に入っていけば優しさを感じることができる人たちだなと思います。

日本を含む4カ国でプレーしてきた三好選手ですが、ドイツサッカーにはどんな特徴があると思いますか?

全体として感じているのは、やはり体の大きな選手が多いこと。フィジカル的な要素は、ほかの国よりも重要視されていると感じます。特にVfLボーフムは、ブンデスリーガで残留を争うようなチームなので、自分たちが主体的なサッカーをするというよりも、相手に対してどういうことができるかを考えて戦うのがメイン。僕自身、体が小さいのもありますし、相手のフィジカルが強いことが大前提としてあるので、自分のパワーを発揮しながらも、何をすべきなのかということも考えなければいけない。そういう難しさがありますし、課題でもあると思っています。

VfLボーフムはどんなチームだと思いますか?

これはドイツのクラブの特徴なのかもしれませんが、地域に根差してるなと思います。ファン、サポーターの人たちの熱量を、ほかの国よりも特に感じますね。試合はもちろん、大事な試合の前には練習の段階からサポーターの軍団が来て、選手たちを鼓舞してくれる。イギリスでもサッカーは人気でしたが、VfLボーフムにはいい意味での荒々しさを感じますね。VfLボーフムには長い歴史があるけれど、常勝軍団ではない。ファンの人たちもそれを知っていて、忍耐強さがある。本当だったらブーイングややじが飛んできてもおかしくない状況でも、鼓舞し続けてくれるサポーターの人たちも戦いに慣れているなって。ホーム戦では毎試合がほぼ満員で、すごくいい雰囲気の中で戦っています。

日本人選手が活躍してきたレガシーを感じることはありますか?

浅野拓磨選手が昨年までプレーしていたので、チームメイトから彼について聞くことが一番多いですね。みんなが言うのは「拓磨はずっとジムにいた」と(笑)。拓磨くんは日本代表で一緒だったので分かるのですが、相当トレーニングを積んでいる体なんですよね。だから全然びっくりしませんでした。小野伸二さんも日本で一緒にプレーしたことがあるので、移籍が決まったときに連絡をくださって。しかも背番号が同じ23番。直近でいうと、仕事でドイツに来ていた田坂祐介さんが、チームに挨拶に来てくださいました。日本人選手がいた系譜は、VfLボーフムというチームの記録、記憶として残っていると思います。チームのために頑張れるような日本人選手の気質でしょうか、僕もプレーしていてそういう信頼を置いてもらえているのを感じます。

それから、日本人はチームに僕一人なので、悪いことすれば悪目立ちするし、逆にいいことをすれば日本人の印象も良くなる。だから国を背負っている感覚があって、普段から言動や行動に気を付けています。まあ、結果で示すのがサッカーの世界なのですが、いい印象があることに越したことはないですよね。

同じくブンデスリーガで戦うボルシアMGの板倉滉選手と仲がいいと伺いました。オフの日もよく会われているのでしょうか?

ボーフムからデュッセルドルフまでそんなに遠くないので、リフレッシュのために日本食を食べに行ったり、買い物をしたりしによく出かけています。板倉選手は小学生のときから同じチームでサッカーをしていたというのもあって、自宅に行くことも。彼の家にはシェフがいるので、時々ご飯を食べに行かせてもらっています。同じくボルシアMGの福田師王選手もよく来ていて、「合宿みたいだな」とか言い合いながら楽しくやっていますよ。

幼いころからサッカー選手を目指していたそうですが、ずっと変わっていない信念はありますか?

僕がサッカー選手になりたいと思ったきっかけは、2002年の日韓ワールドカップ。幼稚園の年長のときにテレビで観戦したのですが、サッカー選手ってすごいなって。兄がサッカーをやっていた影響もあって、自分もサッカーを始めることになりました。子どものころから恵まれた環境にいたなと思います。小さいころに一緒にサッカーをやっていたやつ(板倉選手のこと)が、ましてや同じリーグの隣のクラブでプレーしているということもなかなかないと思いますし。

プロを目指す上での一番の目標は、やっぱりワールドカップ(W杯)に出場して結果を残すこと。次回は2026年にW杯がありますが、そこは常にチャレンジしていきたい。結果はどうなるか分かりませんが、自分が目標として、夢として小さいころからもっていたものにたどり着くために、計画を立ててやってきたという意味でも、ずっとブレていない信念ですね。

常にしっかりと目標を立てている三好選手ですが、子どものころからでしょうか?

子どものころの環境がそうさせたように思います。小学生のときに川崎フロンターレのアカデミーに入団して、現在の日本代表の三笘薫選手なんかと一緒にやってきました。そこでは、プロの下部組織として目標をどう立てていくのか、選手たちにプロセスを考えさせる機会というのが常にあったんですね。サッカー選手としてどういう夢を持っていて、そのために5年後には何が必要で……みたいなことを、小学生ながらにイメージを膨らませて、何歳のときにはこのレベルにいたい、このチーム、このリーグにいたいと考えていました。そうやって短期的、長期的に明確な目標を立てる力が身に付いたのだと思います。

ヨーロッパに来てからは一人で過ごす時間が多くなって、考え事をする時間が良くも悪くも増えました。日本にいると、友だちとご飯行くとかあるけど、こっちではそもそも友だちがいなかったり、食べに行きたいものも特になかったり。だからやっぱり、目標について考えることは環境が調達する部分もあると思いますね。

今シーズンすでに1点決めている三好選手。VfLボーフムでは、どんな存在を目指していますか?

まずは、VfLボーフムがブンデスリーガに残留すること。これはチームの目標でもあり、個人の目標でもあります。今年は自分の力を出し切ってフルコミットしていきたい。自分がそこにどうやって貢献するのかといったら、攻撃の起点となる選手になりたい、ならなければいけないなと。ヨーロッパに来て、攻撃の部分で違いを作れるという自信は確信に変わったとも思っています。そこから日本代表の選出があって、ワールドカップにつながっていくと思います。自分の得意とする二列目のポジションというのはほかのポジションよりも熾烈な争いだし、能力を持った選手たちがたくさんいる。彼らよりも自分は何を残していけるのかというのを、まずはボーフムで証明していけたらと思っています。

試合中の三好選手試合中の三好選手

 
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