夏が来ればいつでも思う、「この街に住んでいて本当に幸せだ」。街中にあふれる緑、青空に映えるレンガ造りの建築物、定期的に聴こえる教会の鐘の音、時にはうるさいほどのカモメの鳴き声、少し足を伸ばせば白い砂浜ときれいな海、そしていつまでも明るい「夜」を満喫できるゆったりとした港……。今回は、そんな夏のロストックを、1日でぎゅぎゅっと楽しむ方法をご紹介します。
西の玄関クレペリーナー門
スタートは10時くらいがよろしいかと。まずはロストック市街地への西の入り口、クレペリーナー門(Kröpeliner Tor)に向かいましょう。ハンザ同盟時代、ロストックはぐるりと壁で囲まれており、大小約20の門が存在しましたが、西の玄関であったこの門が一番立派なものでした。なぜだか分かりますか? ヒントはロストックの西にある街に対する、ハンザ商人の見栄です(笑)。
そこから今でも残る壁沿いを歩いて、現在は文化歴史博物館となっている旧修道院のお庭を散策しつつ、街の中心である大学広場(Uni Platz)に出ましょう。旧東ドイツ時代の作品「生命の喜びの噴水」や、第二次世界大戦の戦火を逃れた、テラコッタと白の対比が美しいロストック大学本館を眺めながら、コーヒースタンドでコーヒーを買ってベンチで少し休憩。さあ、そろそろ11時です。このコースのハイライトの一つ、聖マリエン教会の方にのんびりと向かいましょう。暑くてうだりそうな日ならなおさら、教会の中はひんやり涼しいですよ。
大学広場の噴水
ロストック市内で最も大きく立派な教会である聖マリエン教会では、1472年に造られてから戦火を逃れた天文時計が今でも時を刻み続けています。正午にはイエスと十二使徒、そしてユダが登場するからくり時計が見られるのです。しかし! 夏の間は、月~土曜の正午に礼拝があります。その際に18世紀製造のロココ式の巨大パイプオルガンが演奏されるのですが、なんとオルガン奏者と共に普通では行けないオルガンを演奏する場所、運が良ければみっしりとパイプが並ぶ内部に潜入することもできます。からくり時計を見るか、パイプオルガン潜入か、究極の選択。さあどうしましょう?
聖マリエン教会のパイプオルガン
さて、教会を出たらノイヤーマルクト(Neuer Markt)から路面電車で中央駅まで行き、そこから電車で20分ほど揺られてバルト海を眺めにヴァルネミュンデへ。駅からすぐに運河があり、フィッシュサンドなどを食べ歩いたり、行き交う大小さまざまな船を眺めたりしながら浜辺に向かって散策しましょう。食べ歩く際は、食べ物を狙うカモメに要注意です。
そんなこんなで、あっという間に文字数の上限に達してしまいました。続きは次回といたしましょう。
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
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