ジャパンダイジェスト

タバコの煙は恋の予感!? from France

タバコの煙は恋の予感!?
 テラスは愛煙家に残された
 最後のパラダイス
フランスでは昨年2月以降、職場や公共施設における喫煙が禁じられていたが、今年の1月からバーやレストランの店内でも禁煙となった。批判精神旺盛なフランス国民のこと、規則がきちんと守られるかどうか半信半疑だったが、意外や意外、大半のフランス人はこの新しい法律に順応しているようだ。顧客の確保のために、喫煙が認められているテラスを大幅に改造して新年を迎えたバーやカフェも多かったためか、今のところ、大きな混乱もなくこの新法は受け入れられている。

フランスは伝統的に個人の自由が優先されてきた国だ。だが近年では女性誌などの影響で心身の健康に気を使う人が増えており、そんなことも今回の法律が認められていることの一因のよう。2000年にも飲酒運転を厳罰化する新交通法が定められたが、この頃からフランス人は「安全」や「長寿」のために「自由」を手放す覚悟が出来てきたのかもしれない。

そんな中、唯一抗議の声を上げているのが、一部のタバコ屋の経営者たち。彼らは06年に当時内務大臣だったサルコジ大統領が「タバコを販売している場所で喫煙を禁止するというのは、おかしなことだ」と発言したことを利用しようとしていたが、やはり時代の波には勝てない。新たに飲み物の自動販売機を設けたり、サンドイッチを販売したりと、生き残りをかけて懸命に新たなサービスに取り組み始めている。

一方、賛成派のあるバーの経営者は「もう灰皿を集めたり洗ったりしなくてすむし、床に落ちた吸殻を掃く手間も省ける」という現実的な理由でニンマリ。そのほか、いかにもフランス人らしいロマンチックな意見も。あるパリジェンヌは「私はタバコを吸って彼氏をつくるわ」とウインク。なんでもバーなどを出て歩道でタバコを吸っていると、同じ境遇の愛煙家の男性に声をかけられるパターンが多いらしい。また、とあるレストランの経営者に言わせると、「タバコがなくなったおかげで、女性が入ってくるときにほのかに漂う香水の匂いが戻ってきた」のだとか。喫煙者の自由を妨げる禁煙法。だがほんのちょっと見方を変えれば、別の一面が見えてくるのかもしれない。

「Le Parisien」紙 "La fin de la cigarette" ほか



 
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