なにが愛でなにが罪なのか……
この2人の詳細は明らかにされていないが、生後まもなく別々の家庭に引き取られた男女の双子が成人して恋愛結婚。しかしその後、双子の兄妹であることが判明し、裁判所から「近親婚」にあたると婚姻を無効とされた事実が上院の審議で報告されたというのだ。
この双子カップルがどのくらいの期間結婚していたのか、はたまた子供がいたのか、どのようにして事実が判明したのかなどといった詳細はすべてベールに包まれたままだが、愛し合って結婚した者同士、お似合いのカップルであったことは容易に想像できる。この事実が判明するまで双子として生まれたということを全く知らされていなかったという2人、事実を知った時の衝撃たるや……。専門家の話によると、血がつながっていることを認識している場合には強いタブー意識が働くが、血縁関係を知らなければ、逆に自分に似た血縁者に惹かれることはごくごく自然なことなのだという。
近年、英国では他人の精子や卵子を用いた人口受精が増えているが、この悲劇のニュースを受けて、生物学的両親を子供にあらかじめ知らせておくための法整備が急ピッチで進められることになりそうだ。
さて、この双子は兄妹だと知らずに恋に落ちたケースだが、海を渡ったドイツでは、兄妹だと知りながら恋に落ちたカップルの例が報告されている。
ライプツィヒ在住のパトリックさんとスーザンさんのカップルがそれだ。この2人の場合もパトリックさんが養子に出されていたため別々に育てられたそうだが、兄妹として再会。母親が亡くなった後に2人は恋愛関係になり、結婚こそしていないものの、今までに4人の子供をもうけている。しかし、ドイツで近親姦は違法とされており、パトリックさんは2年の受刑期間を経て出所したところだという。「私たちは何も悪いことをしていない。法律が変わることを望むわ」というスーザンさん。ここまでいくと、近親姦がなぜ罪なのかという根本的な部分まで分からなくなりそうだ……。
「BBC Online」ほか "Parted-at-birth twins 'married'"