油断ならない(!?)パリの公衆トイレ
国立保安局(Observatoire national de la sécurit? des établissements: ONS)が、全国865校の小学校を対象に行った調査によると、多くの生徒が「トイレに行くのが怖い」と回答しているが、その理由は照明の暗さや不潔さだけではなかった。もう一つの大きな理由、それは「恐怖」。なんと「鍵が壊れて、トイレから出られなくなったことがある」子どもが全体の15パーセントもいたのだ。悪臭や不潔さ、そして何より「恐怖」により、トイレを我慢して便秘になったり、衛生管理不備のため膀胱炎になる生徒が増加するなど、このトイレ問題はかなり深刻なレベルに達している。
ある泌尿器科の医師によれば、フランスでは排泄の話題がタブーとされており、そのために問題が野放しにされていた面があるという(最近はましになってきたとは言え、パリの歩道に犬の糞がそのまま放置されているのも、その「タブー」のせいなのかもしれない)。
確かに小学校の例を見るまでもなく、パリのトイレ事情はお粗末だ。電車の各駅にトイレが設(しつら)えられている日本と比べれば、天国と地獄のような差がある。やっとのことでカフェなどの中のトイレにたどりついても、今度は紙がなかったり、時間がくると電気が自動的に消えてしまったり……。とにかく、なかなか安心できない。また時々見かける、しゃがんで用を足す「トルコ式」と呼ばれるトイレでは、水を流すのに一苦労。予外の勢いで流れてくる水には要注意である。清潔感ゼロのくせに、入り口で座っている掃除のおばさんにチップを渡さないといけないトイレが多いのも謎。
最後に、パリの街中に点在する箱状の無料公衆トイレの使用について一言。このトイレの扉は、自動で開閉する仕組みになっている。間違って変なタイミングで中から鍵を触ると扉が開いてしまい、非常に恥ずかしい思いをする羽目になるのでご注意あれ。
「Le Parisien」紙 "Les WC à l'École: quelle honte!"