シュタイフ社からもクヌートのぬいぐるみ
が限定発売された
事態の全貌を掴むには、まずクヌートの生い立ちから。クヌートは2006年12月、ベルリン動物園内で父親ラースと母親トスカの間に生まれた。同園でシロクマの赤ちゃんが誕生したのはなんと33年ぶり。そして母トスカが育児を放棄、飼育係のトーマス・デルフラインさんが育てることになったことも相まって、世界中から注目を浴びることになった。
クヌートの愛らしさに惹かれて殺到した来園者は、これまでに約300万人。入場料のほか、キャラクター・グッズの販売などでクヌートが稼いだ金額は、ざっと500万ユーロ(約7億9000万円)にもなるというから恐れ入る。
そして時をさかのぼること1999年、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ノイミュンスター。当地の動物園がベルリン動物園に雄のシロクマを貸し出した。雄のシロクマはそこで運命の相手に出会い、子どもに恵まれる……。
もうお分かりだろう。雄のシロクマはラース、そう、クヌートの父親だったのだ。そこでノイミュンスター動物園が、同園もクヌートの所有者であると主張。クヌートの稼ぎの一部を得る権利があるとして、分け前を要求しているというわけだ。
これだけの大金を前に欲が出てしまうのは人間の性……と言いたいところだが、愛らしい子グマの笑顔も台無しとなってしまう、なんとも醜い争い。ドキュメンタリー映画のヒットは確実。そして4月にはクヌートの記念切手も発売されるという。さらなる利益をもたらすこと必至なクヌートをめぐる争いは、ブームとともに続いてしまいそうだ。
「SPIEGEL ONLINE」
"NEUMÜNSTER VS. BERLIN Millionenstreit
um Eisbär Knut geht weiter"