女優キャロル・ブーケのポスターの横で
微笑むメナール氏
(写真・Hajime YANAGISAWA)
創設者のメナールさんを始めとする「国境なき記者団」は、そもそも世界各国においてどれだけ言論の自由が確保されているかを監視する番犬的な役割を担うために発足した。このため、これまでの同団体による主な活動は、取材国のジャーナリスト受け入れ状況のレポート作成や、取材国で拘束されたジャーナリストの家族への支援などが中心となっていた。
ところが五輪開催が近付いても、中国ではいまだに海外メディアに対する規制がゆるむ気配はない。そこで「国境なき記者団」は五輪の輪を手錠に見立てたデザイン・ロゴを作成し、本格的に中国を糾弾する方針を決めた。そして同ロゴの入ったTシャツなど関連グッズは、聖火リレー妨害のたびにテレビ放映されたために注目を集めるようになり、関連筋の情報によれば既に100万ユーロ(1億6000万円)の売り上げを記録しているという。
いまや「国境なき記者団」も世界に130支部を構える大きな団体となった。それだけの規模を支えるには、多大な活動資金が必要だ。そういった意味で、Tシャツ販売も理にかなっていると言えなくもないが、一部のメディアでは「メナール氏は、商人の息子だからビジネス・センスだけはある」などと揶揄する向きもあるよう。確かに中国糾弾キャンペーンのポスターには、有名なテレビ・キャスターやフランス人俳優などが起用されるなど、マーケティング志向が強いのも事実。妬む声が出るのも無理はない。
ちなみに、「国境なき記者団」が販売するTシャツはインド製。大阪人なみに商売にはとことん執着する中国人も、さすがに自国をバッシングするグッズは作れなかったのだろう。さらにインドといえば、ダライ・ラマ14世率いる亡命政府の受け入れ国でもある。様々な論議を呼ぶ、インド製Tシャツの効果はいかに。
「La Figaro」紙
"Révélations sur le financement de RSF" ほか
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「言論と報道の自由を守るために 国境なき記者団」