イタリアのエース・ストライカー、 ルカ・トーニ
Tony Marshall/EMPICS Sport/PA Photos
問題となったコマーシャルの内容はこうだ。メディアマルクトに買い物に来るイタリア人男性「トーニ」。髪にはポマード、胸には金のネックレスをかけ、女性に気を取られながらもイタリア語なまりのドイツ語を流暢に操るという、いかにもな人物。そしてトーニは言う。「ドイツ人は、やれ欧州選手権だといっては、薄型テレビを買い漁る。でも賢いイタリア人はそんなことはしない。何を買うかって?審判だよ」
最後に「冗談だよ」という一言でコマーシャルは終わるのだが、これがイタリア人のカンに障ったようだ。イタリア国内の各紙面には「ドイツがイタリアをばかにした」との見出しが踊り、メディアマルクトには在独イタリア大使から抗議文書が届いたという。メディアマルクト側は当初、「トーニは架空の人物。面白いコマーシャルを作ろうとしただけ」と説明したが、あまりにも大きな反応が返ってきたために、このコマーシャルの放送は中止されることになった。
実はトーニにはモデルがいる。そう、バイエルン・ミュンヘンで活躍中のイタリア人選手ルカ・トーニ。でもコマーシャルでトーニを演じているコメディアン、オリ・ディートリヒとは似ても似つかないためか、当の本人は全く気にしていないようだ。それどころか「欧州選手権を前にイタリアを挑発したいドイツの作戦」「こんな作戦が必要なのは、ドイツがイタリアにびびっているから」とクールなご指摘。
確かに昨年のワールドカップ準決勝で、ドイツはイタリアに敗れたが、イタリアが準々決勝で敗退した今、独伊の直接対決は叶わず。「ドイツ優勝」の夢には現実味が増してきた。
「Die Welt」紙 "Falscher 'Toni' beleidigt Italien"