2人で過ごせば楽しみも2倍に
スペイン北東部バルセロナで共同生活を送る留学生たちの姿を描いた、フランスの人気俳優ロマン・デュリス主演の映画「スパニッシュ・アパートメント」がフランス国内で話題を集めたのが2002年。この映画のヒットも手伝って、公開当時はまだまだ下火だったルームシェアも、現在ではフランス国民全体の約1割が営むようになった。映画と違う点は、住人たちの年齢、そして職業。現代のフランスにおけるルームシェアは、お金のない学生よりも、むしろ何らかの職種に就いて既に自活している20代後半の人たちの関心を誘っているという。
個人でアパートを借りる経済力がある彼らをも惹きつけるルームシェアの魅力は、ルームメイトたちとの出会い。20代後半の人々の多くが、自分が生まれ育った家庭から独立して、今後パートナーと共に築き上げていく家庭に入るまでの、いわば人生の中間地点に位置している。だから家族でもない、そして恋人でもない他者との共同生活を営むことができる貴重な時間を満喫したい、と考えているのだろう。
もちろん、共同生活を厭わなければ、同じ値段でより広い空間や良い景色に臨む部屋に住めるという利点もある。さらに大家さんたちもこの動きを大歓迎。家賃の納入は共同責任となるため、誰かが家賃を払わない場合は他の借家人に不足分を請求できるからだ。
孤独を癒すことができる利点や家賃の節約に加え、家族からの束縛を受けずに自由を最大限に満喫できる共同生活というライフスタイルは、これからますます注目を浴びそう。もともと気ままな生活を愛するフランス人のこと、ルームシェアがフランス特有の文化となる日も、そう遠くないかも知れない。
「Le Parisien」紙
"La colocation séduit désormais de
nouvelles générations"