現在スイスに居住地を移している歌手ジョニー・アリデーと言えば、フランス版矢沢永吉とも言える国民的スター。2000年に行われたミレニアム・コンサートでは、パリのコンコルド広場からシャンゼリゼ通りまでが観衆で埋め尽くされたという人気ぶりだ。「パリジャン」紙によると、彼が45年間の芸能生活で稼いだ、CD・グッズ販売の収入からCMの出演料は計1.5億ユーロ(約234億円)になるとか。
しかし、人気者につきものなのが高額納税。今年64歳を迎える彼の最大の関心事は、「いかに税金を払わずに余生を過ごせるか」だろう。
一般人から見ればジョニーは、多少の税金など屁のようなものであるはずのお金持ち。しかし彼は稼ぎもすごいが、その使い方もすごい。とても気持ちよくお金を使ってしまう浪費家でもあるということで、このへんはフランス版エルトン・ジョンといったところか。実際に彼の預金口座の残高を見たことのある会計士や税理士は最初、「あれれ、売れない歌手の口座と間違えちゃったかな?」とびっくりするとか、しないとか……。
そんな愛すべきジョニーに最近、吉報が訪れた。2005年から申請していたベルギー国籍の取得がこのほど無事認可され、今月からは「フランスのジョニー」が「ベルギーのジョニー」へと変身したのだ。国籍変更についてジョニーは「個人的でセンチメンタルな想いから、亡き父親と同じ国籍を取得でき感無量です」などとコメントしているが、だからといってベルギーに移住するわけでなし、この国籍取得劇に裏がないはずがない。実は、ベルギー国籍を取得した人は、2年後にモナコへの永住権を取得できるという仕組みなのだ。
ここまで読んで意味がわからなかった人、モナコは世界に名だたるタックス・ヘブン、つまり税金の存在しない国だということをお忘れなく。
ジョニーは現在、フランスよりも税金の安いスイスで過ごすことで高額納税を抑え、噂によればこれで年間200万ユーロ(約3億円)の節約になっているとか。さらに2年後には夢の税無し生活が待っているというわけ。
あっぱれ、ジョニー。「ベルギー人」になっても、「フランスの心」を歌っておくれ。
「Le Parisien」紙ほか
Le plan de Johnny pour ne plus payer d'impots