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ことの発端は彼の独自ブランド「ガリアーノ」の宣伝広告だった。広告を見た米国人写真家ウィリアム・クラインの友人がクラインに電話で連絡。「ウィリアム、なぜあんなダサイ作品をガリアーノに提供したんだい?」。身に覚えのないクラインが問題の広告をリサーチしたところ、女性誌「ヴォーグ」「エル」などを含む5誌でクラインの作風そっくりの宣伝が確認されたのだ。
クラインは1995年の学生運動の写真を「コンタクト・ペイント」という技法で発表したことで知られている。フィルム・チェックに用いるコンタクトシート(べた焼き)を拡大し、赤エンピツの代わりに光沢と質感のある黄と赤のペンキで写真を囲み、通常は表に出てくることのないコンタクトシートをデザイン作品という形に昇格させた第一人者である。
問題の広告には、被写体こそ違え、色遣いや構図など明らかにクラインと同じ手法が使われていた。裁判所も「問題となったデザインの技法の権利を主張するのは難しいが、デザ イン自体が写真家クラインを連想させるだけにアイデアの盗用に値する」として、ガリアーノに20万ユーロを支払うよう判決を下した。
クラインは「モード業界で、若手がアイデアの盗用や過去のデザインの二番煎じなどを行っているのは事実だ。しかし、才能と教養を併せ持ったガリアーノがアイデアを盗用したことは悲しい」とコメントしている。
モード業界と芸術業界の大御所同士が巻き起こした著作権問題。今回の判決は、贋作や盗用に一番真剣をとがらせているモード業界全体のイメージダウンに繋がるだけに、ガリアーノの進退問題につながるのではとの噂も出ている。
「Le monde」紙 Le stylistes Galliano condamné pour avoir plagié William Klein