もはや信用できるのは自分の舌だけ!?
ところが、優良ワインと格付けされているAOCワインの地位が最近揺らいでいるらしい。消費者団体のUFC-Que choisirが行ったアンケートによると、ワイン生産者、卸売商、醸造学者などの専門家の約40パーセントが「AOCはもはや品質保証の役目を果たしていない」と回答。これは、生産量や収穫高の向上を目指すあまり、品質管理をおろそかにした結果なのだとか。また、回答者の約65パーセントが、産地の指定地域を広げすぎたために、AOCワインはもはや土壌の特性を反映していないという。
AOC認定を申請した生産者の98パーセントが試験をパスしていることも、この基準の曖昧さを示していると言える。これに対して、UFCでは、AOC指定に必要となる基準を定める仕様書を改編すること、さらに基準値を満たしていないワインを格下げするという荒治療まで提案している。
このニュースに頭を抱えているのはワインの生産者たちだけではない。AOCが信用できないとなると、消費者にとって頼りになるのはワインに対する確かな知識、ということになるが、実はフランス人の4分の3は、ワインの生産地、銘柄、ブトウ品種、価格などを何も理解していないという。フランス人がみんなワイン通だと思ったら大間違いで、ソムリエ気取りでワインに関してスノッブなコメントをする人などほとんどいない。大多数は、ラベルのデザインやフィーリング、そしてAOCの基準を頼りにワインを選んでいるのが現実なのである。ワイン大国、フランス国民の名にかけて、この秋はあれこれ試してワインのお勉強!?
「Le Parisien」紙 “Les vins AOC sur la sellette”