ジャパンダイジェスト

母乳育児ブームの行方は…… from France

母乳育児ブームの行方は
パリのシャルルティ・スタジアムで
行われたイベントには、パパたちも参加
フランスの母乳率はヨーロッパで最下位だ。母親の就業率が高いという理由以外にも、胸の形が崩れるという美容上の問題を気にしている女性もいるという。また、貴族の地位にあった女性が子育ての一切を乳母に任せて社交に明け暮れていた、という歴史的事情の名残りか、母乳育児を「野蛮」と見る一部の風潮も多少この結果に影響を与えているようだ。ところが、最近この傾向に少し変化が出始めている。2000年には産院から退院する時に母乳育児をしている女性が56パーセントのみだったのが、2005年には62パーセントになったというのだ。

母乳育児には、さまざまな利点が挙げられる。まず、子供は粉ミルクで育つよりも病気になりにくくなるといういくつかの調査結果が出ている。下痢やアレルギー症、感染症や突然死の割合が下がる上、成長してからも肥満になりにくくなるという。また、母親にとっても、母乳で育てることで子宮収縮ホルモンが分泌されて能率よく動けるようになるという効果がある。しかし、現実はなかなか厳しい。母乳が母子の健康に良いとは分かっていても、赤ん坊が生まれてから2カ月後に母乳育児をしている女性は5~10パーセントのみになってしまうのが現状なのだ。罪悪感に駆られつつ、結局は便利な粉ミルクへと移行する母親が圧倒的多数だという。

ただ、哺乳瓶全盛の時期から比べると、今は授乳が一種のブーム。10月中旬に設けられた「母乳推進週間」の際には、パリを始め全国34の都市で「授乳大会」なるイベントが開かれた。全国で約3000人の母親たちが参加し、母乳育児に関する講演に耳を傾けたこのイベント、なかには「革命が進行中である!」と勇ましく叫ぶお母さんたちの姿も。

夜は子供をベビーシッターに預けてカップルで外出したり、早い時期から母と子が別々の寝室で寝たりと、フランスでは親と子の境界線がはっきりしている。個人主義が尊重されるこの国で、母乳率はこれからどうなっていくのだろうか。一過性のブームで終わってしまうのか、それとも定着していくのか注目していきたい。それにしても、授乳まで「革命」になってしまうとは、これもやっぱりお国柄!?

「Le Parisien」紙 "Allaiter, c'est bien... mais pas si facile"



 
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