セックス・ワーカーの悩みは
尽きない
この刑罰は、サルコジ大統領が内相時代の2003年に制定された「国内治安法」によって定められたもので、これ以降「客引きをすると禁固2カ月、罰金3750ユーロ(約61万円)」の刑罰が科されることになった。これを受けて、この法律の施行前はパリの大通りで客引きをやっていた「セックス・ワーカー」たちは検挙を恐れてパリの郊外へと移動。その結果、売春婦(夫)たちのサポートをするソーシャルワーカーが立ち会う機会も減ってしまい、彼ら売春婦(夫)たちの立場はより脆弱なものになってしまった。
今回デモに参加した売春婦(夫)たちは「問題なのは売春ではなく、その条件だ。私たちは奴隷になるのなんかゴメン。私たちの仕事について知ってもらい、労働条件を高めるために戦っている」と言う。売春を斡旋する業者や、売春婦(夫)を買う客に対して罰則を定めることなく、一番弱い立場であるセックス・ワーカーたちだけを攻めるのはいかがなものか。
フランスでは第二次大戦後に売春宿は禁止されたものの、03年まではさまざまな理由から売春は認められていた。街娼が職業として成り立っていた背景を省みずに刑罰を科したところで問題は解決しない。それにしても、「客引きをすると禁固2カ月、罰金3750ユーロ」とはなんともはや。よっぽどの高級娼婦でない限り、いくら働いても赤字続きになってしまう。「人生最古の職業」とされる売春業だけれど、売春婦(夫)の皆さんも、このままだと商売あがったりだ。
法律を制定した張本人であるサルコジ大統領は、元妻のセシリアさんに離婚の慰謝料を払うためか、最近「英独首相並みに」と給料倍増を要求したばかり。給料アップもいいけれど、大統領、並びに元老院の先生方には是非、頑張って日夜働く国民の声に耳を傾ける時間をとり、すみやかに善処して欲しいものだ。
「Parisien」紙 "Les prostituees ≪racolent≫ les senateurs"