ジャパンダイジェスト

ハリボ HARIBO

子どもも大人もだーい好き!

仲の良いお隣さん一家と一緒に遠出した時のこと。ご夫婦の3歳になる息子のヤン君は、小さなランチボックスを持ってきていた。道中、お腹がすいたヤン君は、そのランチボックスをリュックサックから出して、ほら、と嬉しそうに私に見せてくれた。中には赤、黄、緑のカラフルなグミベアヒェンがいっぱい。ママもパパもみんなでつまんだら、あっという間になくなってしまった。

ハンス・リーゲルがボンで創業

1958年頃と現在のゴールドベア
1958年頃と現在のゴールドベア
Foto: HARIBO GmbH & Co. KG
「ところでハリボって、何でハリボっていうの?」。こんな素朴な疑問をお持ちの方も多いのでは? 実は私も、数年前まではその一人でした。なのでまずは、その答えから。ハリボは、ハンス・リーゲル(Hans・Riegel)がボン(Bonn)で設立したから「HA-RI-BO」。これが名前の由来である。フルーツのグミやラクリッツなどの菓子製造大手である同社は1920年12月13日、ボン郊外ケセニッヒで産声を上げた。1893年にボンで生まれ、飴職人としての修行を積んだリーゲルが27歳当時、共同経営をしていた会社から独立して立ち上げた。

作業台、腰掛けにかまどがあるだけのこじんまりした工場からスタートしたハリボ社はその後、第2次大戦が勃発して「グミが戦車に取って代わるまで」に基盤を固め、着実に成長する。リーゲルは会社設立の1年後に結婚し、新妻ゲルトルートを初の女性の「同僚」に迎えるが、1930年代には、従業員の数も約160人にまで増える。デンマークに最初の国外進出を果たしたのもこの頃である。

リーゲルは45年、大戦終結と時を同じくして52歳の若さで他界するが、その後は妻のゲルトルートを支える形で二人の息子ハンスとパウルが経営の舵を取り、ハリボ社のサクセス・ストーリーが今日まで続くことになる。

ゴールドベアが85歳に

真っ白なクヌートのグミとドイツの国旗3色のグミ
真っ白なクヌートのグミとドイツの国旗
3色のグミ Foto: HARIBO GmbH & Co. KG
今日、ハリボのグミのパッケージにデザインされている、真っ赤な蝶ネクタイがトレードマークの「ゴールドベア(GOLDBÄREN)」。いまや、フルーツグミの代名詞ともいえる同社のメーンブランドだ。

このゴールドベアの元祖「タンツベア(TANZBÄREN)」が誕生したのは1922年。当時は町に市が立つと、サーカスの「クマの踊り」が恒例の見世物となっており、リーゲルは、子どもたちが楽しんでいる様子を見て、クマの形をしたグミをつくろうと思いついたという。大のクマ好きで知られたテオドア・ルーズベルト米大統領にその名が由来するクマのぬいぐるみ「テディ・ベア」の人気が、ドイツにじわじわと広まっていた時代であったことも、ゴールドベアの誕生に一役買っているようだ。

リーゲルが考案した最初のタンツベアは、ポッチャリした現在のゴールドベアに比べてちょっとやせっぽち。経済不況の波が押し寄せていた1920年代に生まれたクマらしいといえばらしい。

昨年、85歳の誕生日を迎えたゴールドベア。同社製品の中でも売り上げナンバーワンを誇る人気者だが、歴史をさかのぼると、実はこんな偉人たちも目がなかったよう。小説家ケストナーやアインシュタインが好んでつまんでいたといわれているし、コール政権で副首相兼外相を務めたゲンシャー氏などは、このグミがなかったら公用旅行には出掛けない、とまで言っていたという。

ボンの旧工場
ボンの旧工場 Foto: HARIBO GmbH & Co. KG

「ハリボの顔」といえば……♪

ゴールドベアの元祖、タンツベア
ゴールドベアの元祖、タンツベア
Foto: HARIBO GmbH & Co. KG
ハリボといえば、ドイツに住んでいる人なら真っ先に思い浮かぶのがあのメロディー「HARIBO macht Kinder froh und Erwachsene ebenso♪♪」。国民的人気を誇るスター・エンターテイナー、トーマス・ゴットシャルク氏が子どもたちと登場するあのテレビCMだ。同氏がハリボの広告塔としてCMなどに登場するようになったのは1991年のこと。早や20年近く「ハリボの顔」を務める同氏は今や、ハリボと切っても切れない間柄になっている。

おなじみのメロディーは、1960年代に生まれた。前半部分、「ハリボは子どもたちを喜ばせる」は、30年代にすでに同社の宣伝文句になっていたが、そこに後半部分の「そして大人たちも」が加えられ、いまのメロディーが完成した。民放Kabel1局の調査によれば、国民に最も知られているCMのメロディーだというが、それも頷ける。

黒・赤・ゴールドのグミでドイツ代表を応援!

ラクリッツとトーマス・ゴットシャルク氏
(上)最初に登場したラクリッツ
は、細い棒の形だった
(下)広告塔・トーマス・ゴット
シャルク氏
Foto: HARIBO GmbH & Co. KG
ボンを本拠に国内外13カ国に支社を構え、約6000人が従事するハリボ社。販売網は世界100カ国以上に上る。商品ラインアップも、ゴールドベアやラクリッツなどを筆頭に、袋入りのものだけで70種類以上。これにイースターやクリスマスの季節限定商品や、話題のニュースを取り入れた商品も加わる。例えば、ベルリン動物園の人気白くま「クヌート」のグミや、サッカーの欧州選手権に合わせ、黒・赤・ゴールドの3色のグミも登場。ドイツ代表の試合を観戦しながら、パクつくにはもってこいだ。

現在、ケムニッツの産業博物館では、ハリボ社とゴールドベアの歴史を一望する展覧会「HARIBO - Mit dem Goldbären zur Kultmarke」が開催されている。今月4日にスタートした同展は、これまでにコブレンツやトリアーなど各地を巡回、すでに20万人以上が足を運んだという。展覧会は8月20日まで。家族みんなで、ゴールドベアに会いに出かけてみませんか。

www.haribo.com

 
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