ジャパンダイジェスト

ゲロルシュタイナー Gerolsteiner

アイフェル火山麓が生んだ自然の恵み

昔の広告ポスター
昔の広告ポスター

ドイツに来てしばらくの間、シュワーっと喉越しに広がる炭酸水に慣れなかった。食事に呼ばれた先で出される「水」は、いつも味のないソーダ水のようで、戸惑ったことを覚えている。でも今では、水といえば炭酸入り、お気に入りはゲロルシュタイナーだ。いつの間にか、毎朝、起き抜けに飲むグラス一杯が、快適な1日をスタートさせるのに欠かせない日課になっている。


炭鉱作業中に水源を発見

ゲロルシュタイナーといえば、スポーツ好きの人にはドイツを代表する自転車のロードレース・チームといった方がわかりやすいかもしれない。ツール・ド・フランスやジロ・イタリアなどの国際レースで、爽やかな水色のトリコが風を切って走る姿が一際目を引く強豪チームだ。でも今回は、そのチームを1998年に創設し、彼らの活力の源である「ミネラルウォーター」の生産で国内最大手のゲロルシュタイナー社(Gerolsteiner Brunnen) に注目したい。

ゲロルシュタイナー
上)各生産工程では、厳しい検査が行われる
下)自然豊かなアイフェル地方が
同社の生まれ故郷

同社の歴史は1888年、ルクセンブルクとベルギーの国境に近い自然豊かなアイフェル山岳地方の町ゲロルシュタインで、ヴィルヘルム・カステンディックが天然炭酸入りのミネラルウォーターを陶製の小さな瓶に入れて売ったことに始まる。炭鉱労働者だった彼自らが、作業中 に発見した水源から採水した炭酸水だ。

陶製の瓶に代わってガラス瓶が登場するようになった1900年初め頃から、同社の事業は波に乗り始める。オーストラリアや米国への輸出を開始したほか設備投資にも力を注いだ。5000ドイツ・マルクを投じて初めて広告撮影を行ったのもその頃だ。

第2次大戦中の44年、クリスマスの空襲で社屋や工場はほぼ壊滅してしまうが、戦後の復興を経て50年を前に業務を再開。息を吹き返した同社は、そのころ同地方にあった同業企業を次々と手中に収め、70年代にはついに年間生産量が1億本の大台を突破するまでに成長を遂げる。

汲み上げた時から炭酸水

ゲロルシュタイナーの天然炭酸入りミネラルウォーターの水源は、アイフェル火山地帯の地下200メートルの深さにある岩層だ。何百年もの昔は海水に覆われていたため、サンゴからのカルシウムや海のマグネシウムを豊富に含んでいるこの岩層に、長い年月をかけて地面にしみ込んだ雨水が浸透、その過程で精製、ろ過されながらミネラルや天然の炭酸ガスを吸収し岩盤層にあふれ出るのだ。こうして生まれた天然炭酸水は塩分が低く、1400mg/Lと高硬度なのが特徴だ。

地下より地上に汲み上げられる瞬間からボトリングまで、この天然炭酸水は環境に配慮した採水工場で工程ごとに徹底した検査を受け、出荷されている。

世界30カ国以上に輸出

昔の陶製の瓶と現在のガラス瓶
創業当初に使用されていた
陶製の瓶と現在のガラス瓶

1998年には他社に先駆けリサイクル可能なペットボトルを導入するなど、ゲロルシュタイナーは常に業界をリードしてきた。現在は、ベネルクス3国や北米、地中海沿岸の観光地などを中心に世界34カ国に市場を持つ。日本でも2004年からサッポロ飲料が販売を開始、健康ブームに一役買っている。

赤い星印にゲロルシュタインの町の紋章が入った同社の商品は、一口に水と言ってもそのバリエーションは多彩だ。定番の炭酸水「ゲロルシュタイナー・シュプルーデル(Sprudel)」を筆頭にここ20年で、炭酸が控えめな「シュティレ・クウェレ(Stille Quelle)」や炭酸なしの「ナトゥレル(Naturell)」、リンゴ炭酸水「アプフェルショルレ(Apferschorle)」など新製品が次々登場した。ビタミンCを補給し、エネルギッシュな1日を過ごしたい人にお薦めの「フィット(Fit)」や療養水「ザンクト・ゲロ(St. Gero)」などもラインアップを固める。また「スポーツ」は、ケルンのスポーツ専門学校の学生らに試験的に飲んでもらったところ、体調維持などに効果が見られ、記録が向上したとのお墨付きをもらった人気商品だ。

賢い「水の飲み方」

ロベルト・ フェル スター選手
チームを引っ張るロベルト・
フェル スター選手

最後に、ミネラルウォーターのエキスパートが勧める賢い水の飲み方をご紹介しよう。

① いつも目の届く所に水を置いておく。
② 一般的に、人間が1日に必要とする水の量は2リットルほど。でもそれを1回でカブ飲みするのではなく、少しずつ分けて飲むようにする。
③ ミネラルウォーターで作った氷は、水道水からできた氷より溶けるのが遅いため、「オン・ザ・ロック」 には最適。アロマ効果も抜群。
④ 朝のコーヒータイムには冷たい水を1杯添えて。コーヒーによって急激に目覚めた胃に優しい効果が得られる。

早速明日から始めてみてはいかがですか。

ゲロルシュタイナー http://www.gerolsteiner.de
写真:© Gerolsteiner Brunnen GmbH&Co KG

 
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