ポンペヤヌム / Pompejanum
ポンペヤヌム外観
「マイン川沿いのニース」の異名を持つアシャッフェンブルク。風光明媚な風景の中、クリーム色の建物が見える。一見、貴族の邸宅を思わせる建物だが、一歩足を踏み入れると、そこに広がっているのは古代ローマの世界だ。
「ポンペヤヌム」というこの博物館の名は、1世紀にヴェスヴィオ火山の大噴火によって滅び、18世紀に発掘された古代都市ポンペイに因んでいる。ポンペイ遺跡の発掘に触発されたバイエルン王ルートヴィヒ1世(在位1825~1848)が、建築家フリードリヒ・フォン・ゲルトナー(1791~1847)に依頼し、古代ローマの理想の邸宅を造らせた。
入って最初に現れるのは、自然光で満たされた神殿だ。中央の泉を回廊が取り囲み、回廊周辺の壁がん一つ一つには、ローマ神話の主要な神々が祀られている。神殿を過ぎると、ローマ人の生活空間を再現した部屋があり、続く2階には古代の壁画を描いた部屋と発掘された品々を見ることができる。
2階から見える中庭。後ろには川と
緑の美しい風景が広がる
ポンペヤヌムは居住用ではなく、古代研究の振興を目的に建てられ、ルートヴィヒ1世が蒐集した古代彫刻や調度品などもここに展示された。建物全体を彩るモザイクやアラベスク、古色然とした壁画等どれも精緻に再現され、ルートヴィヒ1世や19世紀のクリエイターたちの、古代への憧れや創造への情熱が伝わってくるようだ。
21世紀に生きる私たちにとって、古代ローマやポンペイの遺跡を訪ねることも、豊富な資料を手に入れることも、その気になれば難しくはない。しかしその便利さの中で、ポンペヤヌム建設に関わった人々が備えていたような豊かな想像力や、非日常の世界をリアルに捉える感性は衰えつつないだろうか。
古代ローマの遺産や19世紀の古代趣味に留まらず、19世紀の人々のロマンやイマジネーションを今に伝えてくれていると思うと、ポンペヤヌムの面白さは一段と増すに違いない。
左)古代ローマ人の食堂。寝そべって食事をするのが古代ローマ人の風習だった
右)古代の遺跡から現れた発掘品
タイトル画像)入口すぐの回廊と緻密に再現された壁画
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Pompejanm | |
開館時間 | 10 :00~18:00(水~21:00まで) |
休館日 | 月曜・祝日 ※10月15日~3月末までは閉館 |
入場料 | 大人4ユーロ(割引3ユーロ) |
最寄駅 | バス停Stadthalle(Bus 1, 4, 6, 8)から徒歩15分 |
住所 | Pompejanumstr., 63739 Aschaffenburg |
TEL | 006021-218012 |
WEB | www.schloesser.bayern.de/deutsch/schloss/objekte/ |