ミッテンヴァルト(Mittenwald)

オーストリアのチロル地方にほど近いミッテンヴァルト。ドイツアルプスの青い山肌が迫る小さな街には、フレスコ画の壁を持つ可愛らしい家々が並んでいます。山々に抱かれ、数百年の眠りから覚めたばかりの中世の御伽話の世界のようなこの街は、素晴らしい音色を出すバイオリンの産地として世界的に有名。また夏はハイキング、冬はウィンタースポーツが楽しめるリゾート地としての顔も持っています。
www.mittenwald.de

まずは、ミッテンヴァルト駅を背にしてバーンホフ通り(Bahnhofstraße)を進み、街の中心の教会へと向かいましょう。小さな街なので、あっという間に教会のあるホッホ通り(Hochstraße)にたどり着きます。そこでゆっくりと後ろを振り返ると、そこには迫るように そびえ立つカーヴェンデル山(Karwendel)。自然の荘厳さと優しい色合いの壁を持つ家々の対比が織り成す美しさは、息を呑むほどでした。また教会の塔には、まるでだまし絵のように丸アーチと人物が描かれています。教会内部のバロックとロココの豪華な内装も必見です。


フレスコ画が描かれた建物とカーヴェンデル山
次に、教会の横から伸びる小道に入り、美しいフレスコ画に囲まれた小さな広場へ。街のフレスコ画の多くは、聖書をモチーフにしています。そして、その広場の一角をなしているのがバイオリン製作博物館(Geigenbau- Museum)。ミッテンヴァルトは、1684年にこの街の住人マティアス・クロッツがバイオリン製作技術を伝えて以来、今なおドイツにおける弦楽器製作の中心的な役割を担っています。博物館には世界的にも貴重なコレクションが展示されていて、一緒に行った音楽家の友達は観覧中ずっと興奮し通しでした。音楽に興味のある方にお薦めしたい場所です。
オーバーマルクト(Obermarkt)通りには、フラスコ画が描かれたカフェやレストラン、雑貨屋などの建物がひしめき合っていて、建物を見上げたり、雑貨を見たりと大忙しでした。家の窓辺にあふれんばかりに真っ赤な花が咲き誇り、道には用水路に沿ってテーブル席が設けられていました。


オーバーマルクト。
カフェやレストラン、雑貨屋が並ぶ
旅に出たらその土地のビールを味わいたいという方、よくぞ言ってくださいました。ミッテンヴァルトにも、オーバーマルクトをさらに行ったところに地ビール醸造所と直営のレストランがあります。アルプスの美しい雪解け水と空気が作ったビールは、心と体を優しく包んでくれるような柔らかい味わい。(ただし、どんなに美味しくても飲みすぎにはご注意あれ!)レストランではバイエルン料理も楽しめます。
このまま街でのんびり過ごすのも良いですが、もしアルプスの山々に興味があるのなら、カーヴェンデル山(標高2385m)でのハイキングはいかが?駅の反対側からロープウェイで頂上近くまで登ることができます。降りた先はすり鉢状になっていて、その周りをぐるりと歩くと、とても清々しい気分になりました。装備を整えていれば、ここからさらに頂上を目指すこともできます。体を揺さぶる強い風と、空を切り取るような力強いドイツの山々は、自然の雄大さを物語っていました。(コウゴ アヤコ)
München Hbf ‒ Mittenwald RB で直通1時間50分(1時間に1本)
運賃:片道20.50ユーロ
バイエルンチケット有効 28ユーロ(5人まで)
20ユーロ(Single-Ticket)
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