ジャパンダイジェスト

日本の地ビールを自慢しよう

赤味噌、紅芋、かぼす、ゴーヤ、リンゴ、かぼちゃ、黒糖…… これらに共通することって何だと思いますか? 実はすべて日本の地ビールに使われている副原料なのです。ゲテモノと言わないで。どれも意表をつく美味しさなんですから。

今、日本では地ビールが熱い! 大手メーカーのビールの売れ行きが低迷する中、地ビールは売り上げを伸ばし、海外でいくつもの賞を獲得するなど、短期間で世界に肩を並べるまでに急成長しました。米国で2年に1回行われるビールのコンペティション「ワールドビアカップ」でも、今年は日本の地ビールが5つの賞を獲得しました。

日本で地ビールが誕生したのは1994年のこと。1つの醸造所の1年間の最低必要生産量が大幅に引き下げられたことから各地に小規模醸造所ができ、地ビールが造られるようになりました。しかし当時の品質は玉石混交。主原料である麦とホップは輸入品、醸造技術も外国産ビールの真似をしたもので、水だけがメイド・イン・ジャパンと揶揄される始末でした。さらに値段が高いこと、日本人がピルスナー以外の味に慣れていなかったことから売れ行きは伸びず、ピーク時には全国に330もあった地ビールの醸造所は次々に閉鎖に追い込まれました。

2010年現在は、約220の醸造所が稼動しています。生き残った醸造所ではドイツと同様、「土地の特色を活かしたビール造り」が始まり、再び地ビール熱に火が付きました。誰よりも燃えているのは、日本の醸造家たちです。

大阪ビアフェスティバル2010
大阪ビアフェスティバル2010の様子。
日本各地で地ビールイベントが開催され、色々な
種類のビールを一度に味わうことができます

日本の地ビール造りは型に縛られることなく自由。日本酒造りの技術を活用している「常陸野ネストビール」(茨城県)、桜の幹から採取した天然酵母で発酵させる「あくらビール」(秋田県)、自家製ホップと酒米にこだわる「志賀高原ビール」(長野県)、一時は途絶えた麦の品種を地元農家と協力して復活させた「大山Gビール」(鳥取県)、大阪の繁華街のド真ん中にある「道頓堀地ビール」(大阪府)など、個性的な醸造所を挙げればきりがありません。冒頭で挙げた赤味噌などの副原料も地元の味を生かそうとする醸造家の試みの1つです。そしてそれらは成果を上げ、日本ならではのビールが誕生しているのです。ドイツでは、アルトビールはデュッセルドルフ、ケルシュはケルンと、地域ごとにビールのスタイルが限られていますが、日本では副原料を含め、多種多様なスタイルを味わえるのが魅力です。

皆さんもご帰国の際には自分の街の地ビールを探してみたり、旅先で醸造所を訪ねるという楽しみをプラスされてはいかがでしょうか? また、ほとんどの地ビールはインターネットを通して取り寄せることもできます。地元のビールを心から愛し、世界一だと自負するドイツ人にも「日本の地ビールも美味しいですよ!」と胸を張って言い返せるくらい好きになれると思いますよ。

2010年日本各地のビールイベント日程:
www.beertaster.org/toroku/beerevent.htm

 
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