ジャパンダイジェスト

ドイツ、サテライト放送 デジタル化へ

2012年4月30日15時をもって、衛星放送(サテライト方式)でのアナログ放送が終了する。これ以降、アナログ放送を受信していたテレビには何も映らなくなるので、もしも自宅のテレビがアナログならば、すぐにでもデジタル放送に切り替える必要がある。今回は、日本や世界の状況を踏まえ、ドイツのデジタル放送の状況を見ていきたい。

「地デジカ」というキャラクターを知っていますか?

日本に少し前までいた人なら、テレビに盛んに映し出されていたのを覚えているだろう。地上波デジタル普及のために作られたキャラクターで、角の部分がアンテナになっている。

日本では、先行した一部の地域を除いて、2011年7月29日にアナログ電波の停止が実施された。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の被害が大きかった東北の岩手、宮城、福島ではアナログ電波の停止は2012年3月31日まで延期されている。

ヨーロッパ各国の地デジ化の状況

地上波デジタル放送への移行は世界的な流れである。 ヨーロッパ各国を例にとると下記の表のようになっている。

実地国 デジタル放送開始 アナログ停波
イギリス 1998年9月 2012年(予定- 州によって違う場合もある
スウェーデン 1999年 2007年10月
スペイン 2000年 2010年4月
フィンランド 2002年 2007年9月
オランダ 2003年 2006年12月
ドイツ 2002年 2008年11月
イタリア 2003年12月~2004年 2012年12月(予定)
フランス 2005年 2011年11月
ノルウェイ 2007年 2009年11月~ 12月
日本 2003年12月 2011年7月24日(一部地域を除く)

どうして世界的にアナログ放送からデジタル放送への切り替えが必要になったのだろうか。

通信や放送に使える電波の帯域は限られており、その利用状況は現在飽和状態にある。そこで、アナログ電波をデジタル電波に切り替えることによって、空いた周波数をほかの用途に使うことが可能になるのだ。例えば、携帯電話やブロードバンドが今後拡大すると予想されている。

デジタル放送に切り替えることによる利用者側のメリットとしては、建物の反射によるゴースト(画像が多重に見える現象)がなくなる。高品質の画像で高音質の音声が楽しめる。より多くのプログラムを視聴できる。デメリットとしては、デジタルへの切り替えの手間、デジタル電波を受信するための機器、または受信機能を搭載したテレビの購入が必要になることなどが挙げられる。

ドイツでのテレビ視聴方式の状況とデジタル化

ドイツでは現在、主に以下の3つの方法でテレビが視聴できる。(1)ケーブル:受信機をデジタルケーブル回線に接続して視聴する方式。ケーブル回線が敷かれた地域でのみ有効。(2)サテライト(衛星放送):パラボラアンテナと受信機を設置して視聴する方式。(3)アンテナ(地上波):屋外アン テナを通じての受信。壁にあるテレビ用の穴にケーブルをつなぐ、日本でもおなじみの方式(DVB-T)。その他、インターネット回線を利用したテレビの視聴もある。

ドイツのアンテナ方式(地上波)では、アナログ放送が2008年に終了し、すでにデジタル放送が採用されている。ケーブル方式のアナログ放送終了予定は決まっていない。つまりこの2つの方式については今回、問題にはならない。

サテライト方式(衛星放送)は、日本の番組が見られるJSTVもこのタイプということもあり、多くの日本人が使用しているだろう。この方式では、2012年4月30日にアナログ放送が終了する。つまり、アナログ受信機とパラボラアンテナを使用している家庭ではそれ以降、テレビの視聴ができなくなるのだ。

特に、サテライトシステムを1997年以前に設置している場合には、諸機器を交換する必要性が高い。さらにデジタル放送を視聴するためには、デジタル受信機(DVB-S)が必要になる。ただし、現在販売されている薄型テレビには、サテライト(衛星放送)、ケーブル、アンテナ(地上波)のすべてを受信するための受信機が内蔵されていることが多い。

デジタル放送導入のためのステップ

サテライトシステムの設置状況は各家庭によって異なる。
それぞれの家庭でアナログ配信終了にしっかり備えよう。

ステップ 1:家庭のテレビがアナログ放送とデジタルのどちらを視聴しているか確認

● テレビ画面にビデオテキストを表示させる


アナログ放送を受信している場合
アナログ放送を受信している場合
Quelle: klardigital.de

「Wer diese Videotextseite mit einem Satellitenreceiver empfängt sollte rasch handeln. (このテキストが画面に表示されているサテライト放送の視聴者は、すぐにデジタルへの切り替えを行ってください)」


 

デジタル放送を受信している場合
デジタル放送を受信している場合
Quelle: klardigital.de

「Wer diese Videotextseite mit einem Satellitenreceiver empfängt nutzt bereits Digital TV. (このテキストが画面に表示されているサテライト放送の視聴者は、 すでにデジタル放送に対応しています)」

● アナログ放送切り替えについてのウェブサイト www.ard-digital.de( ドイツ語)の
「Analog-Digital-Check」をクリック。いくつかの質問に答えると、結果が判定される
● 家主、住宅管理会社に問い合わせる

ステップ 2:デジタル放送に切り替える

● デジタル放送対応のテレビに買い替える
● デジタル放送受信のためのレシーバ(Digital Empfangsgerät)を各テレビに1台ずつ設置する。
● パラボラアンテナのコンバーター(LNB)をデジタル対応のものに変える。

用語解説

テレビ Fernsehen

日本では、地上波経由でのテレビ視聴が大半を占めるのに対し、ドイツでは、ケーブル(Kabelfernsehen) が約50%、サテライト(Satellitenfernsehen)が 43%、地上波(Terrestrial Fernsehen)が約5%といった割合になっている。地上波ではアナログ放送を終了しているが、ケーブルテレビでのアナログ放送終了については未定で、現在、アナログ対応機器とデジタル対応機器のどちらでも視聴可能。

<参考URL>
■ Die Landesmedienanstalten(www.die-medienanstalten.de)
■ Klardigital 2012(www.klardigital.de)
■ 社団法人デジタル放送推進協会(www.dpa.or.jp)
■ 総務省(www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/dtv)

藤田さおり(ふじた・さおり) 法政大学経営学部経営学科卒業。ニュルンベルク在住。スイスの日本人向け会報誌にて、PCコラムを執筆中。日本とドイツの文化の橋渡し役を夢見て邁進中ですが、目下の目標は、ドイツの乳製品でお腹を壊さないようになること。
 
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