保育をテーマにしたお話しを続けていますが、幼い子を持つ親にとって、どうしても避けられないことと言えば予防接種。0歳児から始まる注射一覧表のハードなスケジュールを見ると、思わず気が重くなってしまったものです。おまけに私の子育て時代には(今もかな?)“自然育児”が流行っていて、子どもに予防接種を受けさせない子育て方針で頑張っているママ友の話などを聞いては、「私はどうしよう」とあれこれ悩んだことを思い出します。
また、私の娘がドイツの小学校に通い始めると、「はしか」が流行し始めたというニュースが聞かれました。その直後、私たちの住む町でも多数の発病件数が報告され、とうとう娘の学校から通知書が届きました。それは「はしかの予防接種をしていない子は、学校の門をくぐれません」という内容のもの。さらに「子どもたち1人ひとりの予防接種の実態を把握したいから、予防接種の証明書を全員が提出するように」と学校サイドと保健所サイドによる同時調査が行われました。
イラスト: © Maki Shimizu
そんなときには、世界中で有効な国際予防接種証明書(イエローカード)が便利です。これは、ドイツで子育てをするすべての親にとっての必需品と言えるかもしれませんね。幼稚園に入るとき、小学校に入学するとき、修学旅行に行くとき、感染症が流行したときなど、ドイツの子どもが集団生活に入るとき、『Impfbuch(予防接種証明書)』の提示を求められることが少なくありません。まるで海外旅行でのパスポートのように、それがなければ許可が下りないくらい大切な証明書なのです。この証明書は黄色の小冊子のような形をしていて、日本でもドイツでも作成してもらえます。母子手帳をドイツの小児科に持参すれば、すでに日本で接種済みのデータもイエローカードに転写してもらえます。
お気付きのように、予防接種に関してドイツではかなり徹底して受けさせているようなので、我が子を幼稚園や小学校などに行かせるときに、慌てていくつもの注射をすることにならないように気を付けましょう。
イラスト: © Maki Shimizu
ところでもう1つ、ドイツの子どもの集団生活の中でよく起きる出来事を思い出しました。それは“シラミ騒動”です。ほぼ毎年、特に夏の季節になると『このクラスでシラミ(Läuse)が発生しました』というお知らせが学校から届きます。「また来たか~」といつも思いました。触れ合ったり、抱き合ったり、ドイツ人の子どもたちは幼い頃から日本では考えられないほど親密な友情表現をするので、それが微笑ましい一方で、こうしたシラミ騒動が起きてしまうと、ヘンな心配をしなければならなくなります。
もしも家庭内でシラミが発生してしまったら、まずは小児科で診てもらってから専用シャンプーや専用ブラシで根気強く退治していきます。完全退治までには時間が掛かり、1週間ほどして医師からシラミがいなくなったことを証明する診断書が出て、ようやくまた学校に通えるようになります。完治するまで自宅待機とは、まるで日本のインフルエンザのようですね(ちなみに、ドイツではなぜか、インフルエンザではそれほど騒がれません)。とにかくシラミは感染力が強いので、この季節、子どもが少しでも頭をポリポリしたら要注意です。
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