ドイツには1300以上の醸造所があり、そのうちの半数以上が南部にあります。この国の多様なビール文化を支えているのは、田舎で古くから続く小規模醸造所です。レーゲンスブルク郊外のラーバー村にあるミヒャエル・プランク醸造所(Privatbrauerei Michael Plank)もその1つ。ここを訪れ、16代目醸造長ミヒャエル・プランク氏にお話をうかがいました。
ミヒャエル・プランク醸造所は2006、12年に
ワールド・ビア・カップで最優秀小規模醸造所賞を受賞した
現在、どのくらいの量のビールを造っていますか?
年間 1万5000ヘクトリットル。近年はコンピューターで醸造を管理できるようになったとはいえ、僕と従業員のマニの 2人だけで造るのは大仕事だよ。ビールは生き物だから、常に変化する。だから、起きている間はずっと働いているんだ。造ったビールのほとんどは地元で消費されていて、ラーバー村の人たちは皆、家族のようなものさ。うちのガストホフ(醸造所付属のレストラン)は、村の人たちの憩いの場になっているよ。
この醸造所が創業したのは1617年。長く続く醸造所とはいえ、先代の後を継ぐことを嫌だと思ったことはありませんか?
それは全くないね! 代々、「ミヒャエル・プランク」の名前とオーナー兼醸造長の座を長男が受け継いできたんだ。だから、僕も生まれたときから後を継ぐことが決まっていたし、物心が付いた頃には、もう父親からビール造りを教わっていたから、ビール造り以外の仕事なんて考えたことがないよ。21歳のときに父が亡くなったけれど、僕は14歳のときに、すでに自分のレシピを持っていた。僕の息子のミヒャエルJr.(11)も赤ちゃんの頃から醸造所で遊んでいて、自分から手伝いをしてくれる。醸造所の長男に生まれたら、それが自然なんだよ。
現在は8種類のビールを造っているそうですが、お勧めは?
どれも美味しいけど、一番人気はヘラー・ヴァイツェンボック。米国で隔年開催されるワールド・ビア・カップで、6回連続でメダルを取った品だよ。口いっぱいに広がる麦の甘みとジューシーな香りがたまらないんだ。
2012年から、日本にも輸出されていますね。ここラーバー村と日本で飲むのとで味の違いがなく、驚きました。
輸出に当たっては、日本のインポーターと協力して徹底した温度管理を行っているんだ。輸送用の冷蔵コンテナの温度を低めの6°Cに設定し、日本の倉庫でも5°Cのチルド室で保管している。日本の皆さんにも最高の状態で味わっていただけるように工夫しているよ。
日本にも、一度行ったことがあるんだ。いろいろなお店や醸造所を訪問して楽しかったな。うちの醸造所で研修をした日本人もいるよ。日本人は真面目で勉強熱心だよね。アヤコも修業していくかい?
私は飲んで書く方が得意なので、遠慮しておきます……。ドイツの田舎にある小規模醸造所の魅力もっと伝えていきます!
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