ドイツビールは何杯でも飲めてしまうのが魅力ですが、たまにはお隣の国ベルギーのビールはいかがでしょう。スパイス入りの白ビールや、オーク樽で熟成させたフルーティーな赤ビール、修道院で造られる度数の高いビール、野生酵母の酸っぱいビールなど、ベルギービールはその味わいの幅の広さが魅力です。また、それぞれのビールには専用グラスがあり、見た目にも楽しませてくれます。
その種類豊富なベルギービールを一度に楽しめるイベント「Belgian Beer Weekend」が、毎年9月第1週目の週末の3日間、首都ブリュッセルで開催されます。年々規模が大きくなり、世界中からビールファンが集まるようになりました。
「Belgian Beer Weekend」。
17回目に当たる2015年は9月4日~6日まで
独自の歴史を歩んできたベルギービールらしく、イベントは格式高く始まります。初日は大聖堂で、ビール醸造業者の守護聖人である聖アルノルドゥスの祝賀ミサ、続いて市庁舎では、ビール醸造者騎士団の叙任式が開催されます。ここまでは非公開。ビール醸造者騎士団長とブリュッセル市長によるオープニング・セレモニーを経て、ようやく一般公開です。2日目と3日目は、昔の王侯貴族をしのばせる豪華な衣装に身を包んだ醸造者組合のメンバーが、レトロなカートに乗って街をパレードします。ブリュッセルの石畳の道を民族衣装の行列が進む様は、まるで中世にタイムスリップしたかのようです。
メイン会場であるグランプラスは、15世紀に建造されたゴシック様式の市庁舎をはじめ、細かな彫刻が施された建物に囲まれた美しい広場です。1998年にはユネスコの世界文化遺産にも登録されています。
会場では、国内の大小50以上の醸造所がブースを設け、ご自慢のビールを提供します。その数350種類以上。全種類を飲むことはとうてい不可能ですので、あらかじめお目当てのビールを決めておくことをお勧めします。中にはベルギー国内でもなかなかお目にかかれない、激レアなビールも。幻のビールといわれる「ウエストフレテレン・アブト12」の、まったりと舌に絡みつくような濃厚で馥郁(ふくいく)としたビールを飲んだときの感動は、一生忘れることができません。希少ビールといえど、開催時刻前からブース前に行列を作るのは日本人ばかり。これは民族性なのでしょうか……。
入場料は無料で、1個1ユーロの専用コインをあらかじめ購入し、ビールによって必要な枚数を渡します。グラスのデポジットは3ユーロ。グラスを返却すれば戻ってきます。
日が落ちると石造りの建物はライトアップされ、幻想的な雰囲気に。ドイツのビール祭りとはまたちょっと違うロマンチックな趣です。しかし、「ビールを飲めば皆友達」というのは全世界共通。同じテーブルになった人とは、すぐに仲良くなれます。世界遺産の広場でじっくりと味わうベルギービールは格別です。ビール好きの皆さん、9月の最初の週末は、ベルギーに集合ですよ。
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