現存する世界最古の醸造所ヴァイエンシュテファン醸造所(Bayerische Staatsbrauerei Weihenstephan)。ミュンヘン郊外の町フライジングにあり、その名は世界に知れ渡っています。醸造所のマネージャーで、輸出部門のセールスディレクターでもあるマークス・エングレット(Marcus Englet)さんに、お話をうかがいました。
ヴァイエンシュテファン醸造所のセールスディレクター、
マークス・エングレットさんと
ヴァイエンシュテファンは、どのような醸造所ですか?
もともとは、聖コルビニアンが725年に建てた修道院でした。当時、この辺りは湿地帯で、衛生状態は良いとはいえませんでしたが、水を一度煮沸して造るビールは安全な飲み物として重宝されていました。1040年の文献に、この修道院でビールを造り、巡礼者には販売もしていたという記録が残っており、これが世界最古といわれるゆえんとなっています。1803年、ナポレオンの進軍に当たり、修道院は解体されてしまいますが、醸造所はバイエルン王室の所有となり、第1次世界大戦後は州立に移行して、現在に至ります。
現在は、同じ敷地内にミュンヘン工科大学の醸造学科も置かれ、世界中から醸造の勉強をしに学生が集まり、教育や研究が行われています。また、150種類以上の酵母をストックし、世界中のビール会社に販売しています。ゆえに、世界の酵母バンクとも呼ばれています。歴史と伝統を受け継ぎながら、世界最新、かつ最高の技術を駆使したビールを世に送り出しているんですよ。
マークスさんのお勧めビールを教えてください
まず飲んでいただきたいのは、ヘーフェ・ヴァイツェンです。濾過されていない生きた酵母を含み、酵母と小麦が織り成すバナナのような豊潤な味わいが楽しめます。今年ロンドンで開催されたInternational Beer Challengeで、金賞を受賞しました。
日本でも飲めますか?
もちろんです。我々は現在、日本をはじめ49カ国にビールを輸出しています。醸造総量の68%を輸出しており、年々増加しています。最も多いのは米国で23%、次にイタリア、オーストリアです。日本はまだ3%以下で、量は多くないのですが、6種類のビールを輸出しています。ドイツ料理店やビール専門店で購入することができますので、日本でもぜひドイツの味を楽しんでくださいね。ビールは、ワインよりも味の幅が広い飲み物です。どんな料理にも必ず合うビールがあります。多くの人に、もっとドイツビールを楽しんでもらいたいと思っています。
伝統と革新が同居するヴァイエンシュテファンのビール、私も大好きです。醸造所は見学もできます。ありがとうございました。
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