ビールを中心とした食文化に造詣が深い、日本ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキさん。国内外のビールコンテストの審査員も務められている。各種メディアに出演し、ビールの楽しみ方と正しい知識を伝える、いわばビールの伝道師だ。藤原さんのビールの世界観について教えていただいた。
ビールの伝道師・藤原ヒロユキさん
ビールを好きになったきっかけを教えてください
ラベルのデザインやね。私ね、中学校の教員をやってからフリーのイラストレーターになったのね。もう30年くらい前になるかな、海外に取材に行っていろんな国のビールを目にしたんやけど、どれもラベルがお洒落でかっこいい。それを書き写していたのがビールに興味を持った始まりやな。それで飲むやん。美味いやん。でも、買って帰って家でキンキンに冷やして飲んだらまずいねん。なんでかなあって思って。そうしたら、日本で自分が飲んでいたのはピルスナーという1つのスタイルに過ぎなくて、世界には100を超えるスタイルのビールがあるって知ったわけ。冷やし過ぎない方が美味しいビールもあるということを知らなかったがために、損していたなと思ったよ。それできちんと調べて飲むようになって、深いビールの世界にはまってしまった。
テレビ講座や書籍で、ビールの知識を広めていますね
欧米ではビールに長い歴史があり、今でもコミュニティーでビールを楽しんだり、文化の1つになっている。日本はどうかというと、1994年に日本の酒税が変わり、いわゆる地ビールが始まったけど、様々な種類のビールを楽しむための知識や文化が育っていなかった。それはもったいない。それで、いろんなメディアでビールの魅力を伝えるようになった。
ドイツはどうでしょうか?
ドイツのビールの歴史と文化は素晴らしいと思う。最近では、伝統的なドイツスタイルのビール以外に、新しいスタイルのビールを造る醸造所も出てきた。それもとても出来が良いね。伝統とは、レシピや衛生管理、温度管理、流通とか、すべての基礎を積み重ねたものであり、それらを熟知した上で革新的なビールを造る。基礎がしっかりしているから、基本のビールも造れるし、新しいものも造れる。美術でいえば「デッサン力がしっかりとしている」。ドイツのビールはアートやと思う。
もっとビールを勉強したいと思ったら、どうしたら良いでしょうか?
実際にいろんなビールを飲んでみることが一番。でも、知識があって飲む方が、知らずに飲むよりも何倍も面白いと思う。インターネットで検索するとか、日本語で書かれたビールの書籍を取り寄せてみるのもいい。拙著『BEER HAND BOOK』(ステレオサウンド刊)は、基礎から学べるからお勧めやで。
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