74いくらの物件であれば、購入が可能か?
ここ数年、住宅ローンの利率は非常に低く、家賃が上昇しているので、住宅の購入を考えている人が増えています。住宅の購入は多くの場合、一生に一度のこと。しかも、大きな金額のものを多額の借金をして購入する一大事業です。そこで、希望の住宅を見つける前に、住宅ローンの仕組みや手順を学んでおくことが大切になります。
住宅の購入を考えた際に、まずウェブサイトなどで希望の家を探すことが多いと思いますが、一体いくらの住宅であれば購入が可能なのでしょうか。自分の生活状況などを踏まえた上での金額が分からなければ探しようがありません。
● 住宅を購入する際に想定すべきこと
住宅を購入する際にはさまざまな手数料が発生します。家の値段に対して不動産取得税、公証人費用、登記費用、不動産や仲介料などを合計すると、ミュンヘン9%、デュッセルドルフ12%、フランクフルト14%、ベルリンでは15%にも上り、手数料だけでも相当な金額が必要です。40万ユーロの住宅ならベルリンでは手数料だけで6万ユーロが必要になります。住宅購入費+手数料から自己資金を差し引いた金額で住宅ローンを組むわけですが、手持ちの資金をすべて頭金にはせず、ある程度残しておいたほうがいいでしょう。
利率はその固定年数によって異なります。10年固定利子のほうが30年固定よりも利率が低いですが、その場合には10年後にローンを組み直す必要があります。10年後に利率が上がっていると返済額が上がるリスクも。現在の利率は低いので、これよりもさらに大幅に下がることはほぼありませんが、上がる可能性は十分にあります。
30年固定であれば利率は多少高くなりますが、その間の利率変動のリスクはなく、完済までのローンを組むことができます。30年固定でも現在の利率は2%台なので、十分低いといえるでしょう。また30年ローンを組んだ場合でも10年後に利子が現在よりも低ければ組み直しができます。
繰り上げ返済は通常の契約では年間に借入額の5%まで。例えば30万ユーロの借り入れの場合は、毎月の返済とは別に年間1万5000ユーロまで可能。最初から繰り上げ返済を計画して毎月返済額は余裕を持った金額にすることで、思わぬ出費や収入の減少に対応できます。
さらに住宅の所有者となれば、ローンの返済以外にも出費が想定されます。高熱水道費はもちろん、例えば集合住宅の場合はそのほかの所有者と共同で支払う保険・管理費・ごみ処理・修繕費用の積立金などの費用の分担金であるHausgeldが、毎月200〜300ユーロほどかかるのです。賃貸の諸費用(Nebenkosten)よりも2〜3割は多くかかることを考慮しなければなりません。
購入可能な金額を知るには、希望の住宅のHausgeldを確認し、毎月ローン返済に当てられる金額を割り出します。
①Immobilienscout24.deのFinanzierungsrechnerで、物件のある都市の不動産取得にかかる手数料と利子固定期間ごとの利率を確認します。
②Hyothekenrechner(例:www.zinsen-berechnen.de/hypothekenrechner.php)に①で算出した利率・毎月返済額・期間を入力し、借入可能金額(Darlehensbetrag)と返済率(Tilgung)を求めます。
借入可能金額に自己資金額を合わせた金額で住宅費用と購入手数料をカバーするので、(借入可能金額+自己資金額)÷(1+手数料率 ※ベルリンなら0.15)が、およその購入可能価格です。