812020年の社会保障費と税金
● 給与と社会保障費
毎年1月からは、前年と給与の額面が変わらなくても少しずつ手取り額が変化します。これは給与から天引きされる所得税や健康保険料、そのほかの社会保障費の金額が変わるためです。
2020年は、所得税が課税される最低金額である基礎控除枠(Grundfreibetrag)が240ユーロ増えて、1人当たり年間9408ユーロ、夫婦で1万8816ユーロまでは課税されません。それ以上の収入であっても、前年と同じ収入であれば1月からの税額は少し下がります。2010年は1人8004ユーロだったため、この10年間で18%ほど上昇しました。
そして、1月から健康保険料を多少値上げをする保険会社もあります。法定健康保険料は給与額面の14.6%の基本料に加えて、保険会社ごとに異なる追加保険料(Zusatzbeitrag)を課すのです。2020年の平均は1.1%ですが、DAKのように1.5%のところも。それから、法定年金の所得税控除率は2%上がって90%になります。さらに失業保険が0.1%だけ下がるため、1月の手取り額は前年よりも少し多くなっているはずです。
社会保障費は下記の表のように給与からの源泉徴収分が20%、労使合計で給与額面の40%です。給与からはさらに賃金税(Lohnsteuer)と連帯付加税(Solidalitätzuschlag)が引かれます。連帯付加税とは、東西ドイツ再統一後の東側(neue Bundesnländer)の復興税として1991年に始まったもので、統一後30年経った今でも所得税の5.5%が課せられています。
2020年社会保障費 | 自己負担労 | 労使合計 |
---|---|---|
法定年金 | 9.30% | 18.600% |
健康保険 基本料金 |
7.30% | 14.60% |
健康保険 追加料金 |
0.55% | 1.10% |
失業保険 | 1.20% | 2.40% |
介護保険 | 1.53% | 3.05% |
追加介護保険 (子どもなしの場合) |
0.13% | 0.25% |
合計 | 19.88% | 39.75% |
合計 (子どもなしの場合) |
20.00% | 40.00% |
● 年金と課税について
法定年金とリュルップ年金の所得税控除率は毎年2%上がり、2025年には100%控除されます。年金受給時の課税率は現在80%ですが、こちらは毎年1%ずつ増加し、2040年以降に年金受給を開始する方は、年金収入は100%課税対象です。
法定年金とリュルップ年金を合わせた最大控除枠は1人当たり2万5046ユーロ、夫婦で5万92ユーロで、2020年はそのうちの90%を控除できます。リュルップ年金の場合は積立額の15%から40%もの金額が還付されます。
● 2020年の最低賃金(Mindestlohn)は、前年から16セントアップの9.35ユーロに。これは給与額面の時給ですが、ミニジョブの場合は手取り時給も同様になります。
● 法定健康保険の無料家族加入枠は10ユーロアップの月平均455ユーロに。主婦などでフリーランスの副業をする方はこの枠を超えると、いきなり毎月約200ユーロの保険料がかかりますのでご注意ください。
● 企業年金
社会保障費の控除枠月276ユーロ(昨年268ユーロ)、所得税の最大控除枠は月552ユーロ(昨年536ユーロ)に拡大します。