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意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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82ドイツの賃貸・持ち家論争

賃貸と持ち家はどちらがいいのか? というのは日本でもドイツでも議論が分かれるところです。確かに賃貸では、家賃を何年払っても自分の家が手に入るわけではありません。購入すればローン返済後は家賃(維持・修繕費を除く)がいらないので、老後はより安心できそうです。

しかし、話はそう単純ではありません。何がいいかはライフスタイル、子どもの数や年齢、都市か郊外どちらに住みたいのか、その時の利率や不動産価格などの状況によっても変わってきます。住む家を自分で所有したいと思う人もいるでしょうが、もしかしたら「夢のマイホーム」などという住宅を売りたい業界の広告に惑わされているのかもしれません。今回は感情的な部分は省いて話をしたいと思います。

持ち家は本当にお得?

まず最近のドイツの状況としては、低利率である一方、大きな都市の不動産価格は高騰しています。利率が低いから物件を買いたいが、住みたい場所では高すぎて買えないということが起きているのです。しかし、そもそも賃貸か持ち家かという2つしか選択肢がないわけではありません。賃貸に住みながら持ち家を貸すという方法もあり、実はこのほうが経済合理性が高い場合も多いのです。自宅を購入する場合、その費用は税引き後の収入から払うことになります。しかし賃貸用住居にかかる費用は税金控除ができるので、同じ物件を買うのであれば自宅にしないほうが節税できます。もし老後に家賃を払わなくて済むということが目的であれば、貸したほうがいいことになるのです。

子どもがいる場合には十数年は部屋数も多く必要ですし、郊外のほうがいいかもしれません。しかし将来的に夫婦2人暮らしになるのであれば部屋数もいらないし、街中の便利なところに住みたいかもしれません。人に貸すための小さな住宅を購入すれば、自分の不動産を確保しつつライフスタイルに合わせてフレキシブルに住む場所を移すことができます。売却して別の物件を買えばいいと思うかもしれませんが、不動産購入には10~15%もの大きな手数料がかかるので、買い替えればそれだけで数万ユーロも余計にかかってしまいます。

購入した住宅に将来必ずしも住む必要はありません。そこは貸しておけば経費を税金控除しながら家賃収入が得られますから、自分はその収入で別の住宅を借りれば、より住みたいところに住むことができます。また、今家族で住むための自宅を購入する余裕がない場合でも、小さい住宅なら購入できるという利点もあります。

物件購入前に考えるべきこと

実は自宅の購入よりも投資物件のほうが、有利な条件で銀行融資を受けられる場合があります。街中の物件であれば、継続した家賃収入を見込めるからです。余裕ができれば小さな住宅を買い足すことでリスク分散もできます。

また自宅を購入する場合、物件価格の90%の融資を受けるとして、全財産の10倍のレバレッジをかけた投資をすることになります。その結果、資産が不動産のみに偏り、リスク分散ができず機会損失につながることも。例えば、この10年で世界の株価平均(MSCI World)は年利20%もの伸びがありましたが、手元資金がなければ資金を投じてリターンを得ることもできません。投資物件は購入後10年たてば売却益が非課税になるので、その時の価格によっては売るという選択肢もあります。ただし大家になれば、管理会社に委託もできますが、もちろんそれだけの手間がかかったり、借り手が見つからない期間や家賃を支払わない借り手がいたりなどのリスクはあるので注意しましょう。

 
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