92最低限知っておきたい!副業やフリーランス
コロナ禍のような全く予測できないことが起きる現在、収入源を分散させたり、いつでもどこでも収入を得られるようにしたりと、副業を持つことの重要性を感じた人は多いと思います。実際、配偶者ビザでも個人事業ができますし、ネット経由で仕事をすることの敷居はかなり下がりました。しかし副業収入を得るのであれば、それに伴う手続きや税金、健康保険のことなどを知っておくことが重要です。
正しい知識がなければ、せっかく副業で稼いだのに、税金と保険料でほとんどお金が手元に残らないということも。さらに、気軽に副業を始めたものの申告していなかったために、後からまとめて数年分の税金や健康保険料を支払わなければならなくなった……なんてことにもなりかねません。
● 主婦(主夫)の副業に要注意!
主婦(主夫)が仕事をする場合は、日本のような105万円までの基礎控除枠というものはありません。年間収入が410ユーロを超えれば申告して課税対象となるのです。また、たとえ収入が日本円で日本の口座に振り込まれたとしても、ドイツで収入を申告する必要があります。
確定申告では、夫婦の収入を合わせた世帯の合計収入に対して税率が決まります。例えば副業での収入が年間 6000ユーロ、配偶者の収入が3万ユーロの場合、約1500ユーロの追加所得税がかかります。法定健康保険に無料で家族加入している場合には、1カ月当たりの平均収入が455ユーロ(2020年)を超えると、月々の保険料は約200ユーロ(年間2400ユーロ)に。そうすると、実際の副業の手取りはなんと2100ユーロになってしまいます。さらに、経理や確定申告が自分でできなければ、税理士に依頼しなければならず、数百ユーロはかかるでしょう。実質的な副業収入は、1500ユーロ以下になるかもしれません。
なお、配偶者も自営業が可能なビザを持っている場合には、職種にもよりますが、配偶者名義でビジネスとして登録し、保険料を抑えられる可能性はあります。
● 売上税と経費について
年間の売り上げ(利益ではない)が2万2000ユーロを超える場合は、売上税の義務がありますが、それ未満の場合には小規模事業主として売り上げ税を免除することもできます(所得税は課せられます)。消費者相手のビジネスでは、売上税を免除すれば利益率が高まりますが、限度額を超えた場合を考慮して料金設定をしておく必要があります。
売上税の義務があれば、経費で払った売上税は還付されます。経費によって減る税金分も考えると、実質的には一般消費者が払う税込み金額の約3~4割引の値段で備品を購入できるということになります。また自営業者は、車のビジネスリースを格安で利用できるので、売上税の還付を受ければ、実質的にさらに安くなります。
● 社会保険(法定年金保険)の加入義務は?
教師や職人、美容師など、職業によってはフリーランスであっても社会保険加入の義務があります。この場合、加入当初は申請により半額にすることも可能です。また、それ以外の職業であってもクライアントが一つ、または仕事の大部分が一つのクライアントからである場合には社会保険の加入義務が生じます。この場合も、最初の3年間は免除申請ができますが、4年目以降も免除を継続するには、クライアントが複数あるか、人を1人雇用する(ミニジョブの場合は2人)ことが求められます。社会保険の義務があったことが後で分かると、数年分まとめて支払いを求められることもあるので、必ず社会保険義務審査を受けてください。