94確定申告は必要? 基礎知識とその方法
年が明けたらやらなくちゃ、と焦る確定申告。2020年に短縮労働補償金(KUG)を受給した人は、確定申告の義務があります。また従業員であっても、両親手当(Elterngeld)の受給者、夫婦共働きで税金クラスが3と5の場合、410ユーロを超える副業収入がある人も確定申告が 必要です。
フリーランス・自営業の人も、もちろん確定申告をします。インターネット経由での仕事など、収入が全て日本円で日本口座に入っていたとしても、また日本で源泉徴収される仕事であったとしても、ドイツ国外での収入は全てドイツでの申告が必要です。
● 何が控除できるの?
確定申告では、収入から控除できる諸費用を差し引いた金額が課税対象収入となり、その金額に対して税率が決まります。2020年分はコロナ禍によるホームオフィス費用の控除が可能となり、1日当たり5ユーロ、最大120日分の600ユーロまで控除できます。そのほか確定申告で控除できる主な項目は、通勤費、リュールップ年金、その他の保険(種類による)、養育費(幼稚園やベビーシッター)、私立学校の学費、医療費、引っ越し代(通勤時間が1時間以上短縮される場合)、職業訓練(専門セミナーや資格取得費用)、仕事に使うための語学(ドイツ語以外)、住宅の改装や修繕にかかる人件費などがあります。
通勤距離が長い方や、年間を通して雇用されていない年、収入に差がある夫婦の結婚した年には、より多くの還付が見込めます。4年前までさかのぼることができるので、2017年以降の申告はまだ可能です。
● 確定申告を自分でする場合
オンライン税務署であるElsterを使用して、無料で確定申告をすることが可能です。Elster.deから税識別番号(Steuer-Identifikationsnummer)を使って申請し、電子証明をダウンロードします。ただし、Elsterでの申告は前提知識がないと難しいことに加え、還付金額などを確認しながら入力した数字や項目が正しいかをチェックできないので、有料のソフトウェアを使用した方が間違いは少なくなります。
従業員であれば SteuerGo.de というオンラインソフトなら、ドイツ語と英語の表示があり、年間30ユーロ弱で申告できます。フリーランスや自営業の場合は、売上税申告もできるタイプのTaxmanやWiesoなどのインストール型のソフトウェアを使います。
税務署から納税通知(Steuerbescheid)が届き、異議がある場合は1カ月以内に申し立てましょう。1カ月を過ぎると納税額を減らすような訂正はできなくなります。また申告は自分でしたとしても、その後に税務署からの質問や要求があった場合に自分で対応する自信がなければ、以下のような専門家へ依頼するのもおすすめです。
● 確定申告を依頼する場合
従業員や年金生活者である場合は、それぞれの都市にあるLohnsteuerhilfsvereinに年収に応じて年会費を支払うことで、その年の確定申告をしてもらうことができます。料金が決まっているので、後から思ったよりも多く請求されてしまうということはありません。ただし会費としての支払いなので、必要がなくなったら期日までに解約しなければ自動的に1年間延長してしまいます。
複雑なケースの場合は、税理士に依頼します。コミュニケーションを取りやすい人を探すと良いでしょう。ただし、料金はLohnsteuerhilfsvereinよりも高くなります。