95年金は一体いくらもらえるの?
資産運用を考える上で、まずは「自分は一体どのくらいの年金をもらえるのか?」を把握することが大切です。将来の年金には国の法定年金や個人年金、それぞれ自分名義の年金や配偶者の年金があります。また、配偶者に先立たれた時にはどうなるのかも知っておく必要があります。
● 日本の年金
日本でも仕事をしていた人、国民年金に加入していた人は、日本からも年金を受給します。海外在住者でも年金機構のサイトで「ねんきんネット」に登録すれば、サイトから年金受給見込み額や今までの加入月数を確認できます。
● ドイツの法定年金
ドイツの法定年金は5年以上加入していれば、毎年年次通知が届きます。三つの数字が書いてある場合は上から、①現在受給可能な障害年金の額、②今までに納めた金額で将来受給できる金額、 ③過去5年間の平均金額を今後も納めた場合に受給できる金額、となっています。
このまま同じ給与で仕事を続けた場合に受給できる金額が、③の1番大きな金額です。ただし、これはあくまで受給見込み金額で、運用益等によって実際の受給額が変わることもあれば、物価の変動によってその金額の価値自体も変化します。一般的には、45年間同じ金額の年金を納めた場合に、給与額面(Brutto)の約45%の受給額になるといわれています。例えば給与額面2000ユーロで45年間年金加入した場合、年金受給見込額は月額約900ユーロです。
● 個人年金
個人年金に加入している場合は、毎年年次通知が届きます。そこに現在までの積立額、将来の受給見込み額の運用益によるシミュレーションが記載されています。以前は年金保険にETF(上場投資信託)を組み込めませんでしたが、今は手数料の低いETFを組み込めるようになったので、ETFに変更した方がより運用益が上がる可能性があります。
● 年金の手取り額
残念ながら、年金受給額が手取り額になるわけではありません。そこから健康保険や所得税などが引かれた金額が手取り額となるのです。法定年金では約11%が健康・介護保険料として引かれます。所得税は夫婦で年収約2万ユーロ(シングルで1万ユーロ)まではかからず、それ以上では累進課税となります(基礎控除枠の数字は年々変化)。
● 配偶者が亡くなった場合
夫婦の場合は当然2人の年金額の合計が年金収入になりますが、配偶者のどちらかが亡くなった場合には、それまでの2人分の年金の満額は受給できません。日本の厚生年金には遺族年金がありますが、国民年金にはありません。
ドイツの法定年金の遺族年金は満額の55%です。専業主婦の場合は夫が先に亡くなると年金が半分になってしまいますが、妻が先に亡くなっても夫は自分名義であるため、そのまま満額受給します。女性の方が平均寿命が長いですし、さらに妻の方が年下の夫婦では、追加で個人年金に加入する場合、妻名義にしてバランスを取るべきでしょう。
個人年金も名義人には終生年金ですが、遺族が受給する場合は期間が限られます。例えば「ギャランティー25年」という契約なら、年金受給を開始してからの25年間は、遺族年金が受給できるという意味です。65歳から受給して80歳で亡くなった場合、配偶者や遺族はその後残りの10年間は遺族年金を受給できるということになります。