97老後の保険料はどのくらい?!
老後のための資産運用を考える上で、年金生活の手取り収入がいくらになるかを知っておくことは大切ですが、これがなかなか複雑です。法定健康保険には、義務加入者(Pflichtversichert)と、任意加入者(Freiwilligversichert)の区分があり、自営業・フリーランス、または従業員で一定(2021年は6万4350ユーロ)以上の年収の人は任意加入となります。保険料(健康保険料+介護保険料)は収入に対する一定の割合が課されますが、義務加入と任意加入では年金生活中の収入にかかる保険料にかなりの違いが出てきます。
●法定保険義務加入者の場合
最初に雇用された時から数えて、年金受給開始までの期間の後半部分の90%を法定健康保険に加入していた場合、年金受給時においても義務加入者の規定が適用されます。保険料は法定年金に対しては11.25%、企業年金や164.50ユーロを超える自営業収入に対してはおよそ18.6%。今後は67歳以降も副業やフリーランスをする人は増えることが予想されますが、その収入が多ければ多いほど保険料率は上がります。そのため、おおよそ13~14%くらいまでと考えておくと良いでしょう。さらに所得に応じて、所得税を払います。
例
年金1200ユーロ+自営業収入400ユーロ+個人年金200ユーロ=合計収入1800ユーロの場合、保険料は約178ユーロ
●法定保険任意加入者の場合
任意加入者となるのは、年金受給前にすでに規定(2021年は6万4350ユーロ)を超える収入があり、直近で12カ月以上、または5年以内に2年以上法定健康保険に加入していた場合です。上記の義務加入の場合に加えてさらに、個人年金、利子収入、証券の売却益、家賃収入に対しても18.6%の保険料が課せられます。
年金収入の額が大きいと、保険料負担もそれなりに高くなります。ただし、保険料が課せられる収入には上限があり2021年は4837.50ユーロです。任意加入者の場合は、保険料は天引きされないので自分で支払います。法定年金の受給額にかかる保険料については義務加入者と同様に自己負担は半分ですが、自分で申請しなければ全額負担することになるので注意が必要です。
また生命保険や年金保険を一括受給した場合は、120カ月に分けて保険料がかかります。例えば一時金が6万ユーロだと、1カ月当たり500ユーロに対して18.6%の93ユーロが保険料を10年間払うということになります。
例
法定年金1600ユーロ+その他の年金・家賃・利子収入1900ユーロ=合計収入3500ユーロの場合、保険料は約535ユーロ
●プライベート保険加入者の場合
保険料は収入額には左右されません。年金受給者となれば雇用主負担はなくなりますが、法定年金受給額の7.3%、最高で保険料の半分までは負担してもらえます。ただし申請が必要です。60歳以降では法定追加保険料の10%部分はカットに。また年金受給開始後は保険料の内訳の収入保証の部分(病欠43日目以降1日当たり100ユーロの保証など)は、支払いの必要がなくなります。
※保険料率は保険会社により異なり、また度々変更されます。