98従業員こそ副業をすべき!?
従業員が副業としてフリーランス・自営業をすれば、本業と副業の両方でメリットを享受することができます。まず従業員の場合は給与が安定しており、年間約4週間の法定休暇も取ることが可能です。個人事業主ではある程度の収入と実績がないと借りられない住宅ローンも、従業員なら、たとえ個人事業主に雇われている場合でもローンが組みやすくなります。
従業員は解雇のリスクがあるとはいえ、一定期間以上就労していれば、解雇されても1年間は失業手当としてそれまでの手取り収入の60%(子どもがいる場合は67%)を受給可能です。その間に職探しができますし、スキルアップのために勉強することもできます。ただし、失業手当を受給すると、ビザの延長に支障が出る可能性があります。
●経費にして売上税も還付
従業員が副業をすれば、給与を数百ユーロ上げてもらうよりも簡単に同額を稼げるかもしれません。副業でスキルを身につけておけば、老後も仕事をして収入を得られるというように、人生の選択肢を増やすことにもつながります。
そして、仕事部屋・PC機器・電話・ネット代・交際費・旅費などで、仕事で使う費用は条件を満たせば経費にできます。また売上税還付手続きをするのであれば、経費にかかる売上税は戻ってきます。例えばパソコンを買って経費にした場合、売上税の19%分が還付され、経費にした分の所得税の軽減率が30%(既婚で課税対象収入3万ユーロの場合)とすると、実質的には税込み定価の4割引で購入できることになります。仕入れがある物販では売上税を還付した方が良いのですが、売上が2万2000ユーロまでは売上税の免除も可能です。
●副業収入には社会保障費がかからない
給与が上がっても社会保険料は昇給分に対して約19%がかかりますが、副業収入には社会保険料はかかりません(所得税はかかります)。社会保険料の約半分は年金保険なので将来への蓄えとなりますが、副業で得た収入であれば個人年金に回したり自分で運用したりすることも可能です。
年収6万4350ユーロ未満(2021年)では、法定保険に義務加入することになっています。義務加入の場合、給与収入から払う法定年金は将来受給する金額に対しても健康保険料と介護保険料がかかります。しかし、副業収入から個人年金や投資に回した場合、そこからの老後の収入に対してはそれらの社会保険料はかかりません。なお、従業員で年収5万8050ユーロ以上(2021年)では、給与が増えても健康保険料は同じです。
以上のことから、従業員こそ副業としてフリーランスをすることで大きなメリットがあります。今後は従業員であっても、フルタイムではない働き方も増えてくるでしょう。例えば本業をハーフタイムにして、従業員としての収入よりも少ない額を副業で稼げるのであれば、社会保障費は約半分に済ませて、浮いた分を個人年金や投資に回すことで老後の保険料を減らすこともできますよ(ただし、法定保険義務加入の場合)。
そのほかフリーランスのメリット
■ 解雇されても別の収入源があればより安心
■ 時間・場所・人間関係を自由にした働き方ができる
■ 定年後も働いて収入を得たり、社会の役に立ちたい
という欲求を満たすことができる