ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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103借金は早く返さないほうがいい!?

できるだけ早く返すべき借金

借金はなるべく早く返した方がいいと思われがちですが、実はそうではない場合もあります。それはずばり、借金の種類によるのです。

リボ払いや銀行口座をマイナスにすることは、年利6~7%から高いところでは13~14%もあり、非常に高利の借金です。また車の購入や資産にならない消費のためにローンを組むことも、「いい借金」とはいえません。このような借金はそもそもしないか、早めに返済した方がいいでしょう。しかし、資産となる住宅を購入するのにローンを組む場合、現在の年利では1%を切ることもあるくらい低いため、できるだけ多く借金をして、可能な限り返済を遅らせる方がいいのです。

返済を遅らせて利益を生む

例えば、1%でお金を借りることができた場合を考えてみてください。それを自分で運用して4%のリターンがあれば、その差の3%が自分の利益となります。

世界の株式市場は、長期間で見れば平均6~7%で成長しているので、長期的にETFの世界株インデックスに入れておけば、年利4%の運用は現実的な話です。住宅ローン利率1%では、10万ユーロ当たりの年間利払いは1000ユーロです。もし4%で長期運用した場合、年間リターンは4000ユーロなので、お金を借りて利子を払っても、年間では差額の3000ユーロが利益となります。ところが、借金を減らすために10万ユーロをすぐに返済してしまうと、この3000ユーロは生まれません。

多めに借りて賢く資産運用

住宅購入の際は、約10%強の購入にかかわる手数料は自分で払わなければなりませんが、物件価格(+改装費)全額の融資を得ることも可能です。例えば50万ユーロの物件では、約5万ユーロの手数料分の現金を用意することになります。もし15万ユーロの資金がある場合でも、全額の50万ユーロの融資を受け、手元に10万ユーロを残して運用すれば、前述のように年間3000ユーロの利益を得られることも期待できるのです。

通常の住宅ローン契約では、年間に借入額の5%までの繰り上げ返済(Sondertilgung)が可能です。ローン残高が40万ユーロの場合、毎月の返済に加えて年間2万ユーロまでの追加返済ができることになります。年利1%では年間利払いが200ユーロ減りますが、繰り上げ返済をせずに4%で運用できた場合には800ユーロの運用益が出ることに。相続や臨時の収入があっても、先に返済することが必ずしもいいというわけではないのです。

一方、ETF運用はしない、お金は普通口座か定期預金にしか入れないという方は、借入利率の方が高いため、早く返済すべきでしょう。しかしこの低金利の時代にお金を置いておくだけでは、インフレに負けて実質的価値は目減りしてしまいます。資産運用することで運用益が得られるだけではなく、失業・病気・災害など、そのほかの非常時のためにすぐに現金化できることは大切なことです。これを機に、「お金はなるべく借りて返さない」という方法もぜひ検討してみてください。

さて、本連載「ドイツでお金と上手に付き合う方法」は今回で終了となります。これまでお読みくださり、ありがとうございました。ウェブ版のアーカイブ記事は、随時情報を更新していく予定ですので、今後もお役立ていただけましたら幸いです。

 
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