ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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毎月目的別に貯蓄する

2 毎月目的別に貯蓄する

財布にあった300ユーロ。たいしたものを買った覚えはないのに、いつの間にか無くなっていた……というような経験はありませんか? お金は意識して貯蓄しなければ、きっちりと無くなってしまいますよね。余裕ができたら貯蓄しようと思っても、実際にはなかなかできません。不思議なもので、収入が増えるとその分支出が増え、やはりちょうど無くなってしまうのです。ですから、高収入でも常にお金が足りないと思っている人は結構たくさんいます。そこで、毎月の収入から計画的に短期・中期・長期に分けて貯蓄していくことが大切になります。

3. 長期的貯蓄

老後のための資金で、年金生活に入るまで手を付けないお金です。生きていれば老後は必ず誰にでもやって来ます。引退後の期間は、現役の頃に比べると余暇時間は長くなり、平均寿命もさらに伸び続けていますので、老後の生活を楽しむにはそれなりのお金が必要です。しかし、ドイツでも少子高齢化の進行により、公的年金だけでは老後の資金は足りません。そこで国は補助金や所得税控除などの特典を用意し、個人年金保険への加入を推奨しています。

個人年金保険には様々なタイプがあり、税控除できないものもありますので、最適なものを選ぶには、偏らない判断のできる独立系の専門アドバイザーに相談されることをお勧めします。お金ができたら、収入が増えたら蓄えに回そうという考えではなく、常に一定の割合、目安としては手取り額の10%ほどを長期的に貯蓄する習慣を付けてみてはいかがでしょうか。

4. 中期的貯蓄

住宅の購入や改装、子どもの学費や車・家具の調達など、中期的に必要なもののためにしておく貯蓄です。事前の準備なしにローンを組んで車を買うと、利子を支払う必要がある上、貯蓄していれば得られたはずの利子を得られず、二重に損することになりますから、予め備えておきたいところです。ドイツでは、「Bauspar」を利用すれば、一般の銀行口座への貯蓄よりも有利な利子を得ることができ、さらに万が一必要な時には低利子での融資も受けられるので安心。収入額によっては、補助金も受けられます。Bauspar口座は、誰でも1つは持っておきたいものです。様々なタイプがあるので、各条件を比較することが大切です。

5. 短期的貯蓄

旅行や趣味に使うお金、ちょっとした買い物や、医療費、車の修理代、不慮の出費など、1年以内に必要になりそうなお金です。普通口座(Girokonto)とは別に、「Tagesgeldkonto」などの貯蓄口座に入れておきます。

資産運用のピラミッド

毎月の収入から、まずは上記の3つの貯蓄に振り分ける分を差し引いて、残りを生活費として使うことができれば理想的です。次回のテーマは、「複利のマジック−お金は長く置いておく方が良い」です。


 
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