3 複利のマジック―お金は長く貯蓄する方が良い
お金は誰にとっても不可欠で、老後までを考えれば、膨大なお金が必要となります。ところが、そんなに大事なことなのに、学校では教わりません。そこで今回は、お金の知識において一番大切な複利効果についてお話します。
複利とは、元本+利息に対して、さらに利息が付いてくることを言います。複利を効果的に得るには、時間・利率・出資額の3つの要因を考慮することが大切です。例えば、25~65歳までの40年間、毎月100ユーロを4%の複利で運用する場合、4万8000ユーロの元本に6万8500ユーロの利息が付いて合計で11万6500ユーロ、元本の242%に増えます。複利が6%の場合は合計19万1750ユーロ、なんと元本の400%にもなります。利率が少し違うだけで、得られる額は大きく変わってくるのです。実際に、現在の年金保険の運用率は4%強ですので、複利4%の例で比べてみましょう。
まず、貯蓄期間による複利効果の伸びを示す右のグラフを見ると、双曲線のように最後の方の貯蓄額がぐっと伸びているのが分かります。つまり、時間を掛けるほどお金は増えるのです。貯蓄期間が少し短いだけでも、利息に大きな差が生じます。
25歳の時には、老後のことはまだ遠い先の話で実感がわかず、そのために貯蓄するなんて考えられないという人も多いでしょう。そうして5年遅れの30歳から毎月100ユーロの貯蓄を始めたとすると、元本は4万2000ユーロとなり、25歳から始める場合との差は6000ユーロですが、複利4%で付く利息は4万8300ユーロ、合計額は9万300ユーロにとどまり、最終的に元本における差の4倍以上に及ぶ2万6200ユーロもの差が生じます。貯蓄を始めるのが5年遅いだけで、2万ユーロも損してしまうのです。これを5年間60カ月で割ると、1カ月当たり333ユーロ。つまり月々333ユーロ、得られたはずのお金を得られないことになります。
未婚者が30歳頃から貯蓄を始めれば、毎月の負担(出資額)はそれほど大きくありません。しかし、結婚して子どもができるなどしてお金が必要になってくると、将来のための貯蓄ができない理由を付けて、先延ばしにしてしまいがちです。そうこうしているうちに、例えば45歳から貯蓄し始め、25歳から複利4%で毎月100ユーロを貯蓄した場合と同様の金額を貯めようとすると、貯蓄期間は20年と半分ですが、毎月の出資額は3倍以上の320ユーロにも上ります。
「お金ができたら」「収入が増えたら」という考えでは、将来の備えはなかなかできません。お金があってもなくても、また収入額にかかわらず、一定の割合で少しでも長い期間、貯蓄することをお勧めします。