7 住宅用貯蓄または貯蓄口座としてのBauspar
ドイツには、銀行とは別に「Bausparkasse(バウシュパーカッセ)」という金融機関があります。同機関が提供するBauspar(住宅用貯蓄)契約で住宅購入資金を積み立てると、将来の住宅購入・改装時に、契約時点で定めた利率で融資を受けられます。すぐに住宅を購入する場合も、Bausparと組み合わせて住宅ローンを組むことが可能です。
Bausparでは将来の利率を先に固定できるので、将来利率が上がる場合には特に有利といえます。実際に住宅購入を考えている場合は、銀行からの変動利子の融資だけでは危険です。利子固定期間が終了する10年後や15年後にローンを組み直すことになりますが、その時に利率がどう なっているか、分からないからです。現在の利率で支払能力の限度額まで借りてしまうと、10年後に利率が上がった場合に返済できなくなってしまいます。実際に、このようなローンを組まされているケースがあります。また、利子固定で完済まで30年ローンを組むパターンもありますが、利子固定期間が長ければ利率は高く、そして支払う利子の合計額は非常に多くなり、結果として銀行を儲けさせることになってしまいます。しかし、Bausparと組み合わせることで10年後の利率を今から固定でき、早期返済も可能となって、利子の支払い総額を減らすことができます。
Bausparでは、契約期間満了時までに融資を受けなければ銀行の貯蓄口座よりも高い利息が付いて、払い戻しを受けることもできます。また、一定額までの融資(不動産を所有していない場合、1万5000ユーロなど)は住宅の購入や改装費用であることを証明する必要がありません。契約期間の半ばでも万一お金が必要になった時、車が事故で全損し、新たに購入しなければならないような時には、一般の銀行のローンよりも低い利率で融資を受けられます。
契約期間は7~15年の間で設定できます。どうしても入り用の場合は途中解約し、すぐに払い戻してもらうこともできますが、契約金額に対して一定の手数料を先に納めているので、契約期間満了前の解約では実質利率が下がってしまいます。
このようにBausparは便利でフレキシブル、しかも安全。 Bausparkasseに預けたお金は、その内部だけでお金を回す仕組みになっており、外部に投資されないため、直接には金融危機の影響を受けません。銀行残高と同様、法定の10万ユーロはもちろん、さらなる保険で25万ユーロまでの残高および利子が保証されます。タリフは何種類かありますが、借りたい金額を、その40%の自己資金を貯めることで、低利子で借りられるものが一般的です。例えば毎 月Bausparに積み立てたお金の合計が4000ユーロであれば、それに対して1万ユーロの融資を受けられます。この場合、1万ユーロのうちの4000ユーロは自己資金なので、実際に借りる額は6000ユーロということになります。毎月、一括および随時の入金が可能です。
Bausparで貯蓄すると、Wohnungsbauprämie(住宅貯蓄奨励金)という補助金制度を利用することもできます。単身者は3万5000ユーロ、既婚者は7万ユーロ以下の年収であれば、年間の自己負担限度額(単身者700ユーロ/既婚者1400ユーロ)に対して10%(単身者 70ユーロ/既婚者140ユーロ)の補助金が支給されます(2022年)。Bausparの口座を持っていると、毎年この住宅貯蓄奨励金の申請書が届くので、該当する方は忘れずに年収を記入し、提出してください。そうしないと補助金は支給されません。提出していない場合、2年分は遡って申請できます。この補助金は、住宅関連の用途のみに使用できます。