ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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ローンの手数料を取り戻そう!

15 ローンの手数料を取り戻そう!

5月13日、連邦裁判所はお金を借りたり、ローンを組む際に生じる一部の手数料が無効であるとの判決を下しました。これにより、2011年以降にお金を借りたり、ローンを組んだ人は、該当手数料の還付請求(Rückforderung von Kreditgebühren)ができることになります。

請求権の時効は3年、期限は毎年12月31日ですので、11年1月1日以降に結んだ契約であれば、今年中に還付請求ができるということになります。このようなケースでは、時効3年ではなく10年のルールを適用すべきとの訴えもありますが、これに関する判決はまだ出ていません。

対象となるのは、自動車や家のローンなどを組んだ場合です。その場合、借り主の支払い能力を判断するために、金融機関はこれまで1~4%の手数料を取っていました。これは金融機関側の関心事であって、消費者側の関心ではないのに、なぜ消費者がその費用を負担しなければならないかという点が争われ、これまでにもいくつかの裁判が行われたのですが、今回、連邦裁にて「当該手数料は無効」という判決に至りました。これにより、今まで還付請求を却下してきた銀行も還付に応じる可能性が高くなりました。

というわけで、11年以降にローンを組んだ人は、契約の際に支払った手数料およびこれまでに生じた4%の利子の還付を請求できます(このケースに当てはまらない場合でも、別のケースでの還付請求方法として参考になることがあると思いますので、ご一読ください)。

● 手数料を取り戻す方法
手数料の還付請求方法は、以下の通りです。
1. まずは契約書の契約番号(Vertragsnummer)や手数料の金額(Bearbeitungsgebühr)を確認します。
2. http://dj-finanz.de/downloadsより申請用紙をダウンロードして必要事項を記入し、金融機関に提出します。

● 金融機関が返金請求に応じない場合

ただ、上記の手続きだけでは、金融機関は対応してくれないことがあるかもしれません。そのときは、今度はオンブズマン(Ombudsmann)という中立の仲裁機関を通して請求することができます。オンブズマンは金融機関に対してのみならず、様々な分野で消費者との間の仲裁を行っています。

銀行のオンブズマンは、シュパルカッセ(Sparkasse)、フォルクスバンク(Volksbank)と、それ以外の銀行で管轄が分かれています。既述の申請用紙のダウンロードリンクに管轄のオンブズマンのリンクも載せてありますので、ご参照ください。

もし、今までローンを組んだ人の多くが手数料の還付を請求すれば、手間も金額も相当なものになるでしょう。累計では、その額は数十億ユーロに上るとも言われています。途中で諦めて請求を取り下げる人が多ければ、金融機関も損失を抑えられるため、オンブズマンを通してもまだ対応してくれないということもあり得ます。しかし、それでもまだ方法はあります。次の手段は、弁護士を通して還付請求を行うことです。ここまですれば、さすがに金融機関も折れて還付に応じるでしょう。

ドイツでは、なかなか物事がスムーズに進まず困ったという経験をお持ちの方も多いと思います。しかし、正当な要求であれば、冷静に適切な方法を取ることで通るのもこの国の良さと言えます。手数料を取り戻せる可能性がある人は、諦めずに頑張ってください!


 
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