ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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住宅ローンを組む方法

23 住宅ローンを組む方法

ドイツで住宅ローンを組む場合、銀行、バウシュパーカッセ住宅金融(Bausparkasse)、住宅金融公庫(復興金融公庫、KfW)の3種類があり、これらを単独または適正に組み合わせてローンを組みます。

銀行ローン

銀行のみでローンを組む場合、利子の固定期間(Zinsbindung)を10・15・20年などと指定し、利子固定期間が長いほど利率は高く、負担が大きくなります。短いほど利率は低くなりますが、その代わり、利子固定期間終了後のローン借り換えの際に、利率変動のリスクがあります。

さて、毎月の利払いの計算方法ですが、例えば24万ユーロを年利2%で借りた場合、24万ユーロ×2% ÷12カ月=400ユーロ/月となります。これを10年前の利率(5%)で借りた場合、毎月の利払いは1000ユーロとなり、毎月600ユーロもの差が出ます。それだけに、いま住宅を購入するのは非常に良い条件なのですが、きちんと計画せず、銀行の勧めるままにローンを組み、大きなリスクを抱えてしまうという例もあります。自分自身でもある程度は、ドイツの住宅ローンについての知識を得ておくことが大切です。

利子の固定期間を短くすることの利点は、始めに低利子で借りて返済率を高め、利子固定期間が終わる10~15年後には大部分の返済を終えているという場合です。将来利率が上がったとしても十分に払っていけるくらいの残高であれば、短期返済ができるので有効です。

バウシュパーカッセ住宅金融(Bausparkasse)

バウシュパーカッセは銀行とは別の金融機関です。ここでの住宅ローンは、積立期間と返済期間に分かれます。例えば、10年という短めの利子固定期間で銀行から低利子の融資を受け、最初の10年は住宅に対する返済を全くせずに利子だけを払い、その間、返済の代わりにバウシュパーカッセに積み立てをします。そして、10年後にバウシュパーカッセが銀行に全額を一括返済し、その後はバウシュパーカッセに一定の利率で完済まで支払っていきます。少々分かりにくいかもしれませんが、借りたお金を早く返済するよりも、返済を遅らせた方が得な場合があります。特に、現在のように借入利率が低い場合には有効です。

バウシュパーカッセの利点は、完済までの利率をあらかじめ固定でき、また返済期間中に無制限で任意返済が可能なこと(契約による)です。これにより、ボーナス・相続・臨時収入などで任意返済し、返済期間を短縮することが可能です。銀行ローンの場合は、任意返済は借入残額の5%までというような制限(契約による)があります。

住宅金融公庫(KfW)

KfWは、例えば5万ユーロまでの融資であれば低利子で借りられますが、昨今は銀行の利率も低くなっており、必ずしもKfWの方が利率が低いとは限りません。しかし、新築や比較的新しい物件で、低エネルギー住宅や省エネのパッシブハウスの場合は、一般金融機関よりも有利な条件で融資を受けられます。KfWでのローンの申し込みは、銀行やバウシュパーカッセでローンを組むときに同時に行います。

通常は、今回ご紹介した金融機関を組み合わせてローンを組むことになります。銀行からの提案が銀行ローンのみの場合は、この3つを組み合わせた見積もりも依頼し、複数の金融機関からも見積もりをもらうか、または独立系のファイナンシャルアドバイザーに比較してもらうと良いでしょう。また、永住権がないと借り入れできない銀行が多いのですが、中には可能なところもあります。

 
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