ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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障害年金 Berufsunfähigkeitsrente

30 障害年金 Berufsunfähigkeitsrente

保険は、大きく分けて「生命保険」と「損害保険」があります。生命保険の種類には、「年金保険」「死亡保険」「障害年金保険」「介護保険」などがあります。

日本ではまとめて加入することが多いようですが、ドイツでは、これらの保険に個別に加入することが多いようです。そのほうが、それぞれの保険の毎月の保険料と補償内容を区別しやすく、また、貯蓄型の保険と掛け捨て型の保険を分けることで、貯蓄効率を上げられるなどのメリットがあります。今回ご紹介する「障害年金保険」は、掛け捨て型の保険です。

障害年金保険とは

事故や病気で障害が残り、働けなくなった場合、亡くなるよりも多くのお金が必要になります。そこで、プライベート障害年金保険に任意加入しておくと、法定年金の不足分を補うことができます。

障害年金の受給理由の割合は、精神的障害によるものが30%、次いで骨格や関節に生じる障害が約20%、がんなどの重病が15%、心臓・循環器系、事故によるものが約10%となっています。

法定障害年金保険

Gesetzliche Erwerbsminderungsrente

被雇用者で法定年金に5年以上加入している場合、法定障害年金の受給権があります。ただし、日本の障害基礎年金と異なり、受給額はそれまでに払った保険料によるので、職歴が短い場合、補償額は多くありません。

ドイツ在住でも、日本の国民年金に任意加入して保険料を収めている場合は、障害基礎年金の受給権があります。条件を満たしていれば、加入期間にかかわらず、毎月約8万1000円の年金を受給できます(2015年8月現在)。来独してからまだ年月が浅く、日本の国民年金に任意加入していない人は、ドイツでプライベート障害年金保険に加入することで、万が一、障害を負ってしまった場合の経済的リスクをカバーすることができます。

法定障害年金を受給できるのは、6カ月以上の間、いかなる仕事にも3時間未満しか就業できないという医師の診断があった場合です。ドイツの法定年金に5年以上加入している人は毎年、年金年次通知(Rentenbescheid)を受け取っていると思います。そこに記されている3つの数字のうちの一番上が、就業不能になった際に受給できる金額です。3時間以上6時間未満しか仕事ができないという診断があった場合は、その半額の受給となります。

プライベート障害年金保険

職業不能年金(Berufsunfähigkeitsversicherung、BU)と就業不能年金(Erwerbsunfähigkeitsversicherung、EU) の2種類があります。BUは、6カ月以上の間、自身 の現職の業務を半分しか遂行できないとする医師の診断があった場合に、EUは、6カ月以上の期間、いかなる仕事も半分しか遂行できないと診断された場合に補償を受けます。

音楽家のように、指に障害を負うと継続が不可能となる職業は、BU保険の保険料は非常に高くなります。その場合は、割安なEU保険に加入する、または事故による障害の み補償される事故保険に加入するという選択肢もあります。

BU / EU保険は、初めに毎月の障害年金受給額を設定します。保険料は職業、年齢、加入時の健康状態によって異なります。年齢が高いほど、保険料も上がります。また、既往症や治療歴によっては追加保険料がかかったり、場合によっては加入自体を拒否されることもあります。両保険はともに、所得税控除の対象となります。

 

 
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