41 年金の手取りはいくらになる?
前回のコラムでは年金保険でその積立金を税金控除できることをご説明しました。年金保険への積立が控除できるようになったのは2005年からですが、それは同時に受給する年金が段階的に課税されることになったためです。この年金には、法定年金、個人年金、企業年金を含みます。
今年2016年から受給を開始した場合、課税対象率は72%です。2020年までは毎年2%ずつ、それ以後は毎年1%ずつ上がっていき、2040年以降に年金受給をする人(1973年以降の生まれの人)の年金は100%が課税対象となります。
年金受給開始年と年金の課税対象率
受給開始時の控除率は、その後もずっと適用されることになります。つまり2020年から年金を受け取る人は、その後もずっと課税対象率は80%となります。さらに、年金収入に対して健康保険料と介護保険料を合わせて約11%を支払うことになります。年金の手取りを計算するには、下記のような公式が成り立ちます。
実際に年金生活者の手取りがどのようになるのかをみてみましょう。例えば2030年から年金受給する人で年間の年金収入が2万4000ユーロの場合は、下記のようになります。
手取り収入に対する2016年の基礎控除(課税されない額)は独身では8652ユーロ、既婚は17304ユーロですので、この場合既婚であればほとんど所得税はかかりません。次に、2016年の所得税率です。
年金だけでなく、投資信託等の運用益での収入がある場合、利子収入に対しては一人当たり年間801ユーロの基礎控除があり、それを超えた収入に対して25%の税金(Abgeltungssteuer)がかかりますが、所得税率がそれ未満の場合にはその所得税率が適用されますので、現役時代よりも収入の減る多くの場合では所得に応じた税率となります。
プライベート健康保険加入者の場合は、一人一人保険料を払いますが、法定年金受給者は年金収入の7.3%(2016年)まで、最高プライベート健康保険料の半分までが補助されます。法定年金を受給しない場合はプライベート健康保険料は全額自己負担となります。