ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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フリーランス・自営業と滞在ビザ

45 フリーランス・自営業と滞在ビザ

ドイツでフリーランス・自営業の形態で仕事を始める場合、まずは前回ご案内したように、自分に合った健康保険が何かを見極めます。その後、健康保険の加入証明書を持って滞在ビザを申請することになります。

ビザに書かれている仕事しかできない

外国人である私たちにとって、ドイツでの仕事はビザありきです。ビザで許可されていない仕事に従事することはできません。例えば、労働ビザであっても特定の会社でしか働けない、フリーランスビザであってもカメラマンとしてのみ、といった制限がある場合、ビザの内容を拡張しなければほかの仕事はできません。また、フリーランスのビザを持っている人がミニジョブ等で小遣い稼ぎをしたいと考えた場合も、ビザに記載がなければできません。

自分がどの仕事に従事できるかを判断する際、気をつけなければならないのは、判断するのは外国人局(労働局)だということです。例え雇用主や、場合によっては税理士が、外国人特有のルールを知らずに「フリーランスをしていてもミニジョブをしても大丈夫だよ」と言っていたとしても、従うべきはビザに記載された内容です。また、ビザの取得前であっても、税務署でフリーランスの事業登録ができてしまいますが、これも絶対に避けるべきです。

有限会社を設立する場合

有限会社を設立する際も、自営業ビザが必要です。そのことを知らずにいると、弁護士や税理士などの専門家に依頼していながら(彼らにとっては外国人のビザは専門外なのですが)、ビザなしで有限会社を設立してしまい、外人局とトラブルになるというケースが後を断ちません。

まず自営業ビザを取ってから会社を設立するか、それが難しい場合には、配偶者や第3者(日本にいる人でも構いません)を51%以上の出資者とします。そして、自分はその会社に雇われる被雇用者としてのディレクター(Geschäftsführer)という形式にすれば、自営ビザがなくても会社の設立が可能です。出資者は自営業ビザを必要とせず、ドイツに居住している必要もないからです。その後、自営業ビザを取得してから株を買い取り、自分が100%出資者となることもできます。配偶者ビザのある方は、逆に仕事は会社勤めでも自営業でも、なんでもできるようになりました(配偶者に滞在権のある限り)。

ビザで許可されていない仕事をしていたことを外国人局に知られた場合、ビザの延長が難しくなるケースがあります。その場合は、早めに移民法や滞在ビザの案件に強い弁護士に相談したほうが良いでしょう。

社会保険の義務とその免除

フリーランサー・自営業者は、社会保障費の免除を申請することで、最初の3年間は年金保険料を免除されます。その後も、クライアントが複数あるか、人を一人雇っていれば(ミニジョブの場合は二人)、再申請して延長できます。申請条件を満たす場合、通常は法定年金の免除を受け、より有利な個人年金で積み立てます。免除されている間、全く年金積立をしない人がいますが、そうすると将来の年金がないことになってしまいますので、個人年金等で積み立てる必要があります。免除要件を満たしていない場合は、社会保障に加入する義務があります。支払っていない分は、遡って請求が来ますのでお気をつけください。

また5年後の永住権申請を目指すのであれば、5年間の年金保険への加入が要件となります。よく勘違いされていますが、納税は必要条件ではありません。

 
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