46 日本での収入も申告が必要です
● 2017年1月より各国の口座情報は自動的に情報交換されます
世界的な所得隠しを防止するため、2014年に調印されたOECDの取り決め「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が、2017年1月より各国で実施されます。これにより、ある国の個人の口座情報が、その人の住む国に自動的に送信されることになります。
今までは、居住国以外での収入(利子・投資による利益・不動産収入など)があった場合には、税務署はそれを把握することができず、かなりの取りこぼしがありました。また、その隙を利用して利息の高い海外口座に貯蓄したり、投資したりということが行われていました。しかし今後、そのような所得隠しはできなくなります。
現在は、銀行側も口座名義人の海外の居住地を把握していません。今後、新規に口座を開く場合は居住地の申告が必要になります。すでに口座を持っている名義人には、居住地を確認していく作業が行われます。
● ドイツでは、少額でも収入について申告の必要あり
これまでは、ドイツ在住の人が日本で仕事をして、日本にもドイツにもそれを申告しないでいても、実際ほとんど発覚しませんでした。また多くの人は、それが所得隠しであるという意識がなく、「少額であるから申告の必要なし」と思っていたようです。その理由の一つは、日本では被扶養者に103万円や38万円の配偶者控除の壁があり、それに満たない所得は非課税だと思われているということがあります。
しかしドイツでは既婚者の場合は二人の所得の合計に対して税率が決まりますので、主婦(夫)に少しでも所得があれば課税対象となります。配偶者の収入が高ければそれだけ税率は高くなり、副業で得た少ない収入に対して約40% もの所得税がかかることもあります(所得税率は比例累進課税で15~42%、限界税率45%)。そのような場合はつまらない仕事でお小遣い稼ぎしても割に合いませんから、やりたい仕事をしたほうがいいですね。
もちろん独身者も申告の必要はありますし、フリーランスや自営業で収入が一人あたり基礎控除の8820ユーロ(2017年)未満であっても、または例え利益が全くなく、収支がマイナスであっても、税務署への申告(報告)はしなければなりません。
執筆や翻訳など仕事内容によっては日本で源泉徴収される場合がありますが、ドイツが居住地であれば、やはりドイツでの所得申告が必要です。この場合、二重課税はされないのですが、所得税率を決めるための合計所得額には加算され、それ以外の所得の税率がその分上がることになります。
● 日本や他国での収入も申告が必要です! バレます!
これまでも、もちろんドイツ国外の所得分について申告しなければならなかったのですが、今後各国の情報交換とIT化が進めば、申告漏れは簡単に発見できるようになります。過去に遡っての追徴課税という可能性もあります。これまでに申告をしていなかった人も今後は申告するようにしましょう。
国税庁の共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報www.nta.go.jp/sonota/kokusai/crs/index.htm