ジャパンダイジェスト
意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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低利子時代の貯蓄方法

49 低利子時代の貯蓄方法

皆さんは自分の銀行口座の現在の利率をご存知ですか? ドイツでは普通口座には利子がなく、貯蓄口座(TagesgeldkontoやSparkonto)に入れなければ利子は付きません。例えば、ポストバンクのいつでも引き出しができる貯蓄口座の年利は現在0.01%です。つまり100万円を1年間置いておいたら100円の利子がつくというわけです。一方、日本の東京三菱UFJ銀行の普通預金の利子はその10分の1の0.001%、年間で10円の利子です。ドイツの方が得なのでしょうか?

ここで「マイナス金利」について考慮しなくてはなりません。マイナス金利とは銀行に預けたお金の増える率よりも、物価の上昇率の方が高いということです。日本の2016年のインフレ率は-0.3%、ドイツの2017年のインフレ率予測は1.7%となっています。ということは日本の実質年利は0.001-(-0.3)=0.299%のプラス金利ですが、ドイツは0.01-1.7=1.69%のマイナス金利になってしまうのです。
つまり銀行に預けたお金は確実に目減りしてしまい、現金のみの形で貯蓄をすることはマイナスなのです。それでは、実際に毎月一定の額を貯蓄していきたい場合にはどうしたらいいのでしょうか?

まず国の制度を利用する

利用できる国の制度を検討します。年金保険は補助金や税金控除の特典をつけて国が推奨している制度なので、株や投資信託と違い、リスクなく大きなリターンが得られます。

リースター年金

子どもがいる方の場合は「リースター年金」がお薦めです。これで貯蓄すれば、例えば子どもが二人いて夫婦で加入した場合、一番自己負担の多い例でも年間自己積立額2040ユーロに対して908ユーロの補助金がつきます。補助金率は自己負担額に対して44%にもなります。

リュールップ年金

所得税の高いドイツでは税控除のできる「リュールップ年金」を利用するのは有効です。収入にもよりますが15~40%もの税金が還付されます。例えば毎月100ユーロ、年間で1200ユーロを積み立てた場合、15%の還付だとしても180ユーロが戻って来ます。実質1020ユーロの積立で180ユーロの利子がつくようなものですから、年利(単利)で約18%にもなります。

銀行預金とは比べ物にならないほどのメリットがありますが、このような制度は抜本的に作られるわけではなく、後付けされていくので分かりにくいのが難点です。またメリットが大きい分、前記のようなものは長期的貯蓄なので年金受給年齢までは受け取ることはできません。

プライベート年金

もっとフレキシブルな貯蓄をしたい場合は「プライベート年金保険」がお薦めです。こちらは老後まで待たずとも、途中で必要な時には引き出すことも可能です。所得税控除や補助金のような特典はありませんが、63歳以降で一括受給する際には利子に対する税金(Abgeltungsteuer)が半額になるという特典があります。

ここでご紹介したような年金保険は全て長期で運用されているので、低利子時代にあっても年利は3%以上ありますから、銀行にそのまま置いておくよりもはるかに有利です。将来日本に帰国する場合は、積立を休止することも可能です。受給は日本の口座、またはドイツに残した口座に指定することもできます。

 
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