52 ネットバンクの口座開設と本人認証
● パスポートが身分証明書として認められない?
前回ご紹介したように、支店のある一般銀行の口座は各種手数料が掛かるようになり、手数料なしで利便性も良いネットバンクに乗り換える人も増えてきています。
インターネットを介したサービスの場合は支店や窓口がないので、銀行口座などの金融商品や携帯電話の契約など本人認証が必要なプロダクトの場合、サービス提供者とのビデオチャット、または郵便局が提供している本人認証代行サービス「POSTIDENT」で本人確認を行います。ところが、ビデオチャットでの認証は外国人の場合は認められないことも多く、郵便局での本人認証サービスを利用することになります。2015年の難民の大量流入やその後の欧州各地でのテロの影響を受けて、マネーロンダリング法が改訂されたり、本人認証プロセスが厳格になってきています。その頃から郵便局での本人認証で日本のパスポートが通用しないという問題が起きています。
ドイツや他の欧州諸国で身分証明に必要な情報は、名前・生年月日・生誕地、この3項目で身分証明書で確認することになります。外国人の正式な身分証明書はパスポートのみですが、日本のパスポートには生誕地の記載がなく、その代わりに国外では(国内でも)意味をなさない本籍地(Registered Domicile)の記載しかないのです。そのために郵便局員が生誕地をコンピューターに入力できず、身分証明ができないので、ネットバンクの開設ができないということが多発しているのです。
● サポートが受けられなかった時は相談を
そこで昨年、日本大使館に相談し、大使館・領事館発行の出生証明書を身分証明書として認めて貰えるように郵便局に交渉して頂いたのですが、郵便局からの返答は残念ながら「ノー」でした。それでも記載の本籍地が生誕地であると主張することでなんとか通用したケースもあったのですが、ここ数カ月で新たに本人認証のための身分証明書用スキャナーが各地の郵便局に導入され、パスポート情報の読み込みが自動化されました。その機械に日本のパスポートを通すと、名前や顔写真は読み込まれるのですが、「Ausweis nicht zugelassen!(無効な身分証明書!)」というエラーが出てしまい、ほぼ確実に日本のパスポート※は拒否されてしまうのです。
※日本のみならず他の国のパスポートでも拒否されるものはあるようです。
ドイツに住む日本人にとって唯一の身分証明書であるパスポートが認められないとなると、肝心な時に大事なサービスが受けられないというリスクを伴います。この問題についてはすでにベルリンの日本大使館に報告してありますが、本人認証を拒否された経験がある方は、是非その状況を報告して頂けると良いかと思います。自国のパスポートが身分証明書として有効でないということは問題ですし、それが原因でネットバンクの開設ができないなど、銀行を選ぶ際の選択肢が狭まるデメリットが発生します。多くの事例が確認できれば、大使館や外務省も対策に乗り出し、解決に向けてドイツ側と交渉できるかもしれませ
場合の問い合わせ先:
在ベルリン日本大使館領事部のメールアドレス
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● 日本外務省 意見・感想 入力ページ
www3.mofa.go.jp/mofaj/mail/qa.html