ファイナンシャルアドバイザー
1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。
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61 フリーランスと法定健康保険(2018年版)
ドイツの健康保険制度は法定健康保険とプライベート保険の2本建てで、しかも法定健康保険のルールは非常に複雑です。特にフリーランスで仕事をする場合にはルールを把握していないと、思わぬ落とし穴に遭うことがあります。
ワーホリ用の旅行健康保険はひと月35ユーロくらいから加入できますが、パートであっても一度451ユーロ以上の給与で就職すると、法定健康保険に義務加入することになります。この場合その仕事を辞めてもドイツ滞在中は法定健康保険を辞めることはできず、収入がなかったとしても毎月約180ユーロの保険料がかかります。
よく仕事を辞めた時に法定健康保険も解約したと思っている人がいますが、これは従業員としての加入ではなくなっただけで、個人としての加入は継続しています。その際、その後の仕事や収入などについての質問票が届きます。これを放っておいてきちんと回答しないと最高額の毎月約792ユーロの保険料が課せられ、さらに期限を超えて放っておくと、さかのぼっての保険料の変更を訂正することができなくなってしまいます。何か書類が届いたらきちんとその内容を確認する必要があります。
法定健康保険に無料で家族加入している主婦(夫)が副業で仕事をする場合、毎月の収入(利益)が435ユーロ(2018年)まではそのまま家族加入を継続できます。435ユーロを超えて1015ユーロ(2018年)までの収入では保険料は約180ユーロとなります。ただし書類では副業(Nebenberuf)の項目にチェックを入れないと本業とみなされ保険料は約410ユーロとなります。チェック一つで全く違う保険料になるので注意が必要です。主婦(夫)で収入の限度額を超えている場合は、配偶者の名前で仕事を受ければ、無料の家族加入にとどまることも可能です。
専業フリーランスや副業であっても収入が1015ユーロを超えて2283.75ユーロ(2018年)までの場合、保険料は約410ユーロとなります。収入がこの金額を超えると収入のおよそ17.9%が保険料となり、最高額は毎月収入4425ユーロ当たりの保険料の約790ユーロとなります。それ以上の収入でも保険料はこれ以上増えません。
配偶者や子供が扶養で無料加入する場合は良いですが、シングルの場合は法定健康保険料がかなり割高になり、プライベート健康保険のほうが毎月の保険料は抑えることができます。ただし、一度プライベート保険に加入すると後で法定保険に戻るには、従業員になるなどの条件が必要です。配偶者または第三者に雇われる形にすれば、55才までは再度法定保険に戻ることができます。
● 保険料減額制度
夫婦で月の収入が約2283ユーロに満たず、資産を保有していない場合は保険料の減額申請ができます。その場合、最初の半年の毎月保険料は約270ユーロとなります。その後も審査により、月収が2283ユーロを超えない場合は期間の延長も可能です。
職業 | 条件 | 毎月保険料 |
学生 | 29才まで | 約90€ |
学生 | 30才以上 | 約180€ |
配偶者・子供 | 毎月平均収入435€まで | 無料 |
主婦(夫)の副業約 | 毎月平均収入1015€まで | 180€ |
専業フリーランス・自営業 | 配偶者との合計収入が 2283.75€まで、別途 減額制度の申請が必要 |
約270€ |
専業フリーランス・自営業約 | 毎月収入2283.75€まで | 410€ |
専業フリーランス・自営業約 | 毎月収入2283.75€以上 | 収入の約17.9%、 最高保険料は約792€ |
※ 法定健康保険の保険料は保険会社によって多少異なりますのでおよその金額を示しました