67 主婦(主夫)の副業
ネットのおかげで副業が簡単な時代となり、子育てが一段落して副業を始める方も多いでしょう。今回は主婦(主夫)が副業を始める場合に気をつけることをまとめました。
● 法定健康保険の場合
法定健康保険に無料で家族加入をしている場合、月平均の収入限度額は435ユーロ(2018年)、これを超えた場合には最低でも月約180ユーロの保険料がかかり、前年分をさかのぼってまとめて請求されます。月平均というのは必ずしも1年間の平均ではなく届け出をした期間の平均です。9月から届けた場合は12月までの4カ月ですので、収入を4で割ります。その期間の平均収入が435ユーロを超えてしまっている場合でも、仕事の準備期間があれば税務署への申請で仕事開始日をもっと早い日付にすれば月収入平均額を下げることができます。法定健康保険に家族加入している場合は毎年保険会社から前年の収入を申告する用紙が届きます。週20時間未満の副業の場合には、職業欄は「主婦(Hausfrau)」として副業はあくまで副業(Nebenjob)と記入します。同じ収入でも職業欄を「自営業(Selbstständiger)」とすると毎月保険料は400ユーロ以上になってしまう罠があります。配偶者もビザ上自営業が可能な場合は、配偶者と収入を分けることで無料の家族加入を維持することも。
● プライベート保険の場合
ライベート保険の場合は収入があっても保険料に変化はありません。ただし、配偶者もプライベート保険の場合には2人で老後に加入していると非常に高く付きますので、55歳までなら配偶者に451ユーロ以上で雇用される形式にすれば法定健康保険に加入することができます。
● 駐在員の場合
数年前より配偶者ビザで自営業が可能になっているので駐在員の妻もフリーランスの副業が可能です。ただし、駐在員の場合には給与は手取り保証制になっていることが多く、確定申告は会社側ですることになるので、まずは雇用主に確認したほうが良いでしょう。税率は夫婦の合計年収で決まりますので夫の所得税額も上がりそれを会社が負担することになるかもしれません。通常日本の社会保障を継続していますので、主婦も3号被保険者として国民年金に加入していますが、一定以上の収入を得て扶養から外れれば3号被保険者でもなくなり、また雇用主の配偶者手当にも影響することがあるので、これらも考慮が必要です。
※ 月450ユーロまでのミニジョブ雇用の場合は非課税なので確定申告の必要もなく、健康保険料にも影響しません。フリーランスにはこの枠は該当しません。
● 確定申告と所得税
税務署にフリーランス登録をすれば、収入申告をしなくてはいけません。そこで収入と支出の証拠書類を整理しておく必要があります。自分で申告する場合にはElster.deに登録し電子証明を取得してください。夫婦の合計年収に対して所得税率が決まるので、配偶者の収入にもより高い税率が課せられますし、日本のような主婦の副業の非課税枠はないので、副業収入に対しても課税されます。
※表は境界税率の目安となります。
未婚 | 既婚 | ||
課税年収 | 境界税率 | 課税年収 | 境界税率 |
9,000€ | 0.00% | 18,000€ | 0.00% |
10,000€ | 15.99% | 20,000€ | 16.00% |
12,500€ | 20.98% | 25,000€ | 21.00% |
15,000€ | 24.41% | 30,000€ | 24.41% |
17,500€ | 25.51% | 35,000€ | 25.51% |
20,000€ | 26.61% | 40,000€ | 26.61% |
22,500€ | 27.71% | 45,000€ | 27.71% |
25,000€ | 28.81% | 50,000€ | 28.81% |
27,500€ | 29.92% | 55,000€ | 29.92% |
30,000€ | 31.02% | 60,000€ | 31.02% |
35,000€ | 33.22% | 65,000€ | 32.12% |
40,000€ | 35.42% | 70,000€ | 33.22% |
45,000€ | 37.62% | 75,000€ | 34.32% |
50,000€ | 39.82% | 80,000€ | 35.42% |
※ 境界税率はその収入全体の平均税率とは異なります。
※ 税率はほぼ無段階的に変化しますので、表中に表示のない中間値が存在します。