検索ワード6
「食事制限 ドイツ」
ドイツ語単語
・Ernährung:栄養・Rohmilchprodukt:生乳の乳製品
・Pasteurisierten Milchprodukt:殺菌済みの乳製品
「Zunehmen ohne schlechtes Gewissen!(罪悪感なく体重を増やそう!)」
連邦食糧・農業省の妊婦向けパンフレットの一文にあるように、これがドイツの妊婦の基本姿勢。このパンフレットによると、10~16キロの体重の増加が見込まれ、痩せ型の人ほど体重が増える傾向にあり、多く食べる必要はないが、より良い食生活と、適度な運動が大事! と書かれている。
日本の妊婦向けの情報誌などを読むと、体重の増加について、もっともーっと厳しい取り締まりがあるように感じる。毎回の検診で「1月に500~1キロのペースの体重増加を目指しましょう」「体重の増加は、7~9キロまで」。体重が増えることは諸悪の根源という姿勢で、医師による徹底した管理が行われているところが少なくないようだ。
妊娠中は、何をするにもお腹の中の赤ちゃんへの影響が気になるが、重いつわりの分だけ、その時期が明けた後は、食べ物が輝いてみえてくる。特に私の心を捉えて離さなかったのが、カツカレー。リトル・トーキョー、デュッセルドルフに住んでいる幸せと、定食屋さんをはしごしながら、「どこのカツカレーも絶品だ!」と、舌鼓を打っているうちに、つわりで減っていた体重がみるみる戻ってくる。
妊娠中期に入って少し出てきたお腹は、「食べ過ぎて胃が膨らんでいるだけのようにも見える」(夫談)という状況。周囲は、「妊婦さんは2人分食べないとね」と甘やかしてくれるが、飽食の時代を生きる私たちが、2人分の食事をとる必要性はまったくないらしい。
日本の情報も並べて読んでいると、「お産のリスク」「妊娠中毒症のリスク」「赤ちゃんへの影響」という面から、体重管理は妊婦の仕事の1つという認識が強まるため、検診の度に「体重は増え過ぎていないか?!」と担当医に前のめりで聞いていたが(前月比2キロ増だと、もう罪悪感が沸いて来る)、まったく問題にされず、肩透かしをくらったような気持ちになった。結果、一度も体重が増え過ぎたとは言われずに、私は妊娠前と比べて12キロの体重増(妊娠後期に急に増えて焦った)で出産にいたった。
食事制限の話があったのは、一度だけ血液検査で尿糖+という結果が出たとき。「パンやパスタは、Vollkorn(全粒粉)のものを選ぶと良いよ」と言われた。
妊娠中、食べてはいけないもの、控えるべき食品は、基本的に日本と同じ。
摂取しない方が良いもの!
アルコール、タバコ、生の肉や魚(生ハム、刺身など)、加熱消毒されていない生の乳製品(カマンベール、フェタチーズなど)、カフェイン(コーヒー、チョコレート、紅茶、コーラなど)など
お勧めの食品!
全粒粉のパンやパスタ、ジャガイモ、ビタミンが豊富な野菜や果物、十分な水分、その他、不足しがちなカルシウムや鉄分の豊富な食材など
トキソプラズマの感染を防ぐために、生ものは避ける。寿司も刺身もダメ、ドイツ名物メットヴルストもタルタルステーキも、アオカビのチーズもだめ。アルコールは飲まないから、つまみになるものが食べられなくてもいいもん……と開き直る。食欲というのは恐ろしいもので、ふと衝動を起こすときがあるが、赤ちゃんに与える影響やリスクを考えて「食欲退散!」と、呪文を唱える。
それでも、熱い日差しを受けるとビールが飲みたくなる。大丈夫。今はノンアル全盛期! 各種ノンアル飲料を飲み比べ(ノンアルコールといっても、ちょっと入っているので飲みすぎ注意)。そんな私の独断と偏見によるノンアルビールNo.1が、ERDINGER Alkoholfrei! ヴァイツェンビール特有の旨みをしっかり感じられる秀作だ! と、制限の多い妊婦生活もなんだかんだと楽しんで乗り切ることでで「ストレス発散!」。
次回、「Hebamme List(助産師 リスト)」。産前産後の助産師と妊婦との関係は、日本とドイツで大きな違いがあります。